出来損ないの王妃と成り損ないの悪魔

梅雨の人

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「あら、寝ちゃったわね…」 

「あ、ほんとだ。リアに乗せてもらって気持ちよかったんだろ。次は俺の上にリアを乗せるから二人で乗ろうぜ。」 

「重いわよ…?」 

「重いわけねえだろ?俺を誰だと思ってるんだよ。リアはまだまだ太ったっていいんだぞ?」 

「甘やかしすぎよセーレ。ふふふっ」 

「そうか?」 

「そうよ」 

 

平民が住まう住宅街から少し外れた場所に白いレンガと青い屋根が美しいこじんまりとした屋敷が目に入った。 

近隣の目撃情報から絶対にここにジュリアがいると確信した私は一目散に駆けつけた。 

策の内側から茂る花々で屋敷の庭さえ目にするのが難しかったが、忘れもしないジュリアの声が聞こえてきた。

私はどうにかしてジュリアを確認しようと花々の隙間を縫うようにして視線を声のする方にやった。

そしてついに、大きなブランコに座っているジュリアが目に入った。 

「ジュリア…」 

よく見るとジュリアの膝の上には子供が抱き着くように座っていた。 

なぜジュリアは子供を抱えているんだと、もうわかっているであろう答えを受け入れることがどうしてもできずに頭が真っ白になった。

ジュリアはその子供がよほど愛おしいのか、頬を子供の頭に擦り付けるようにしてキスを何度も送っていた。 

そしてジュリアの目の前にはあの黒髪の男が立っていて、ジュリアの乗ったブランコを優しく押してあげていた。 

お互いがお互いを見る目はとても穏やかでそこだけ時間が止まったかのような、この世界にこの三人だけのようなそんな雰囲気を醸し出していた。 

ジュリアは絶えず笑みを浮かべ、男はブランコを押すのをやめてジュリアと子供事そのまま抱えてに自ら座りジュリアを慌てさせていた。

次第にジュリアから笑顔が零れそれを男は愛おしそうに頬ずりしている。

しばらくそうしていると、男はそのままジュリアと子供を抱えて立ち上がり屋敷の中に入っていった。 

そんな男にジュリアは頬を赤くし、男はそんなジュリアの頬に口づけを落としゆっくりと歩いていた。 

ジュリアが無事に生きていたと分かったのに、私の胸中は吹き荒れていた。 
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