愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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言い訳2

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「でもずっとルビーが頭から離れなかった俺は頑なに彼女の好意をかわし続けた。それでも、侯爵令嬢というのに必死になって俺なんかに好意を示し続けてきてくれたんだ。 

周囲もそんな彼女に同情的で、新たな恋の相手に彼女で何が不満なんだってなって来て。彼女に不満はないが、でも彼女はルビーじゃなかった。ルビーじゃなかったんだ…。 」

その言葉に不意にドキッとしたルビーの手を包むジョーンズの手が僅かに強張ったのを感じた。

「それから、俺は…。ルビーが俺に会いたいって手紙をくれたときに、こんな奇跡があるのかと信じられない思いで帰国を決めた。その時、おそらく彼女の父親からルビーのことを聞いたんだろう。 

帰国のための荷物を取りに最後に俺の部屋に戻ったときに、どうやってかそこに忍び込んできた彼女が…その…俺に抱きついてきたんだ。」 

「あなたの部屋に…忍び込んで?」 

「ああ…それから俺が驚きで動きが止まったと同時に彼女が俺に抱きついてきた。」 

「それで…」 

「それで…俺は彼女を引き離そうとしたんだ。その拍子に彼女の体が投げ出されて…幸いベッドの上に体が行ったからよかったものの…その女性に対して酷いことをしてしまった。」 

「それは…そうね…」 

「ああ…とにかく俺は行かないでほしいという彼女を置いたまますぐに部屋を出てルビーに会うために国に戻ってきた。」 

「そう…そうなのね。」 

「ああ、そうだ。だから今日偶然彼女に会って、なんと言っていいか。気まずくなってしまった…すまなかった。」 

話を聞いたルビーはその大きな瞳を伏せた。 

自分の知らないジョーンズの過去にあのキーラという女性がいたという事実に、ルビーは息苦しさを感じていた。 

そんな資格はないのに…と自嘲しながら。  
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