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番外編
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「えっと、バラの本数、意味…」
「何してるの?」
「うわあっ、び、びっくりしたあ…」
スマホが手から滑り落ちそうになったところを、唯斗がうまくキャッチしてくれる。ただし、俺の手ごと。
「何か調べてるの?」
「えっと…」
あえてスマホの画面は見ないようにしてくれている唯斗は、やっぱり優しくて完璧な恋人だ。…と、そうではなく、先ほどから唯斗の手に触れているところが熱い。緊張なのか、温度の高さなのか、手汗が吹き出てきて、唯斗に付いてしまうのが何だか申し訳なさすぎる。
「あの、唯斗、手が…」
「手?」
ああ、と唯斗の手に包まれている俺の手を見ると、唯斗はあろうことか、指を絡めて手を繋いできた。手の平が一番手汗をかいてしまうんだから、さっきより状況は悪化している。
「あの、手汗とか…」
「大丈夫だよ。それよりも、何してたの?」
きゅっと絡める指に力を込めた唯斗が、何事もなかったかのように同じことを尋ねてくる。唯斗と手を繋いでいることが飛び上がるほど嬉しい俺も、かなり重症で、もう手遅れかもしれない。
「バラの本数の意味を調べようと思って」
「何本の意味?」
「…13、本」
「永遠の友情、だったかな」
「そ、そっか」
「…想?」
い、言えない。昨日思い出ボックスを暇つぶしに漁っていたら、保育園の時に唯斗からもらったバラの折り紙が出てきたなんて。
だって、この間美術室でもらった折り紙と、絵と、合わせて13本になってしまう。こじつけかもしれないけれど、せっかく恋人になれたのに、友情に逆戻りなんて不吉すぎる。
「だ、大丈夫だから。何でも、本当に何でもないから、っ」
「想?」
「何でもな…」
頬を膨らませた唯斗がこちらを拗ねたように見てくる。その唯斗のご尊顔を前に嘘をつける人など、この世にひとりだって存在しない。
「…昨日、保育園の頃に唯斗にもらった折り紙見つけて…美術室でもらったのと合わせて、13、だな…って」
気にしすぎなことは、自分でもよく分かっている。けれど、唯斗と友達に戻ってしまうのはなんだか寂しすぎるし、唯斗とのこの関係に影を落とすことは、どんなに小さくたって気になるお年頃なのだ。
「じゃあ、想と僕は、ずっと友達で、恋人だね」
「…え?」
「恋人兼友達なんて、最強だね」
そう言ってふにゃりと笑う唯斗に、どちらかだと決めつけてしまっていた自分に気がつく。そうだ、今までも、これからも、唯斗は大事な幼馴染で友達であることは変わらない。そこに、大好きな恋人であることが付け加わったのだ。
「…うん、うんっ!」
唯斗との関係を表す言葉は、いくつに増えたっていい。だって、唯斗が大切な人であることは、疑いようのない事実なのだから。
「それにしても、想は可愛いね」
「え?」
安心した俺をじっと見つめていた唯斗が、噛みしめるように呟いた。
「だって、僕と恋人じゃなくなっちゃうのが嫌で、あんなに動揺してたんでしょ?」
「なっ、あっ…」
まずい。心の奥底にあったことをあっさりと見透かされてしまい、もはや壊れた機械のような声しか出なくなってきた。
唯斗はそんな俺を抱きしめると、耳元に唇を寄せる。思わずびくりと肩を震わせた俺に、唯斗は笑った。
「大丈夫だよ、想。これから先、何があっても想と一緒にいるから」
「何してるの?」
「うわあっ、び、びっくりしたあ…」
スマホが手から滑り落ちそうになったところを、唯斗がうまくキャッチしてくれる。ただし、俺の手ごと。
「何か調べてるの?」
「えっと…」
あえてスマホの画面は見ないようにしてくれている唯斗は、やっぱり優しくて完璧な恋人だ。…と、そうではなく、先ほどから唯斗の手に触れているところが熱い。緊張なのか、温度の高さなのか、手汗が吹き出てきて、唯斗に付いてしまうのが何だか申し訳なさすぎる。
「あの、唯斗、手が…」
「手?」
ああ、と唯斗の手に包まれている俺の手を見ると、唯斗はあろうことか、指を絡めて手を繋いできた。手の平が一番手汗をかいてしまうんだから、さっきより状況は悪化している。
「あの、手汗とか…」
「大丈夫だよ。それよりも、何してたの?」
きゅっと絡める指に力を込めた唯斗が、何事もなかったかのように同じことを尋ねてくる。唯斗と手を繋いでいることが飛び上がるほど嬉しい俺も、かなり重症で、もう手遅れかもしれない。
「バラの本数の意味を調べようと思って」
「何本の意味?」
「…13、本」
「永遠の友情、だったかな」
「そ、そっか」
「…想?」
い、言えない。昨日思い出ボックスを暇つぶしに漁っていたら、保育園の時に唯斗からもらったバラの折り紙が出てきたなんて。
だって、この間美術室でもらった折り紙と、絵と、合わせて13本になってしまう。こじつけかもしれないけれど、せっかく恋人になれたのに、友情に逆戻りなんて不吉すぎる。
「だ、大丈夫だから。何でも、本当に何でもないから、っ」
「想?」
「何でもな…」
頬を膨らませた唯斗がこちらを拗ねたように見てくる。その唯斗のご尊顔を前に嘘をつける人など、この世にひとりだって存在しない。
「…昨日、保育園の頃に唯斗にもらった折り紙見つけて…美術室でもらったのと合わせて、13、だな…って」
気にしすぎなことは、自分でもよく分かっている。けれど、唯斗と友達に戻ってしまうのはなんだか寂しすぎるし、唯斗とのこの関係に影を落とすことは、どんなに小さくたって気になるお年頃なのだ。
「じゃあ、想と僕は、ずっと友達で、恋人だね」
「…え?」
「恋人兼友達なんて、最強だね」
そう言ってふにゃりと笑う唯斗に、どちらかだと決めつけてしまっていた自分に気がつく。そうだ、今までも、これからも、唯斗は大事な幼馴染で友達であることは変わらない。そこに、大好きな恋人であることが付け加わったのだ。
「…うん、うんっ!」
唯斗との関係を表す言葉は、いくつに増えたっていい。だって、唯斗が大切な人であることは、疑いようのない事実なのだから。
「それにしても、想は可愛いね」
「え?」
安心した俺をじっと見つめていた唯斗が、噛みしめるように呟いた。
「だって、僕と恋人じゃなくなっちゃうのが嫌で、あんなに動揺してたんでしょ?」
「なっ、あっ…」
まずい。心の奥底にあったことをあっさりと見透かされてしまい、もはや壊れた機械のような声しか出なくなってきた。
唯斗はそんな俺を抱きしめると、耳元に唇を寄せる。思わずびくりと肩を震わせた俺に、唯斗は笑った。
「大丈夫だよ、想。これから先、何があっても想と一緒にいるから」
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