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第2章 欠落状態冒険者始動する

第24話 拠点

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 町はずれの平屋を購入して、ギルドを後にした俺。ちなみに俺がギルド内を出る時。ギルド内ではちょっとした騒ぎが起こっていた。
 なぜなら――俺が訳ありの家を購入したからだろうな。

「おいおい。あの家買った馬鹿が居るらしいぞ」
「マジかよ。死ぬぞ?まあ俺には関係ないが」
「でもギルドの人も安心でしょ。管理が離れるから」
「ボロ布――呪われたな」
「買ったのは誰だ?」
「ボロ布着た新人とか。最近来た奴じゃないか?はじめて見る顔だったし」
「終わったな」
「終わった」
「仲間がいなかったんだね。止めてあげる人居なかったのかな?私なら絶対買わないよ」
「ぼっちはハズレくじを引くだな」
「ご愁傷さまだ」

 どうやら俺が家を購入したことがあっという間に広まっていたらしい。というか。まあわかるわな。受付で普通に話していたんだし。周りには依頼の掲示板などもあるので人が行き来していた。そんな中で訳ありの空き家に関して話していたので――まあこうなるか。

 そんないろいろ言われつつも俺はギルドを後にして、先ほどの平屋へと戻って来た。
 俺が戻って来ると先ほどの看板が無くなっていた。どうやらあれも魔法の物だったらしい。あと、アサヒが言っていたようにドアのノブにあった魔法陣に近づき俺が手を振れると――消えた。これで中へと入れるらしい。便利なこっちゃだな。多分これで俺が離れたり中から施錠をしたら誰も入れないのだろう。でも窓とかがあるから入れそうだが――まあそこは魔法か。などと考えながら。

「——よし」

 ちょっと緊張しつつも俺はドアを開ける。特に爆発するとか。何か変な魔法を感じたということはなく。普通のドアだった。

 ガチャリ。と普通にドアが開く。ちゃんと管理されていたらしく。重たいとかそういうことはなく普通にドアは空いた。

「——まあこれくらいは予想していたな」

 ドアを開けて室内を見渡す。
 室内は荒れ果ててはいない。だが――これは家というのだろうか?何もなかった。倉庫と言った方がいいかもしれない。長方形?正方形かもしれないが。そんな感じの室内。本当に何もない。窓があるだけ。少し日差しが入ってきているから室内はなんとなく暖かい雰囲気があるが。ホント何もない。でも、何も持っていなかった俺が金貨を5枚得て、さらに一生過ごせる生活空間をゲットしたのでいだろう。必要なものはこれから買っていけばいい。

 室内を見渡した後、開けっ放しだったドアに気が付いた俺は、ドアを閉めてから。何もない空間の真ん中にとりあえず座った。これからの事を考えるためだ。
 あと、今まではいきなり知らない土地で常に誰かの視線を、という感じだったので室内に1人という空間で少しリラックスしていた。

 一息ついてから、俺は今自分が持っているものを床に並べた。
 今俺が持っているのは金貨5枚の入った小袋とボロ布の服。あとギルドカードだけ。そもそもボロ布。これは……装備というのだろうか?ちょっとしたことで素っ裸になりそうだが。まあでもとりあえずは装備を見に行き。値段の確認。そして依頼を受けるには武器が必要だろうから武器も――あっ、依頼を受けるための契約金を残しておかないとだな。
 以来の契約金は銅貨5枚くらいが一番低いレベルの依頼では書かれていた気がする。あと食料に関してもどのくらいかかるか見ておかないとだ。
 俺はどのように今あるお金を使うか考えつつ――一通り決めたところで、再度町中へと向かうことにした。

 まず向かったのは、ギルド。もう今日だけでも何回も来ているな。ここで武器や防具を売っているのは初めに来た時に見ていたので、まずここへとまたやって来た。のだが――。

「俺のステータスじゃ装備できる物がない!?」

 武器屋防具を見せてもらう前に、お店の人に即そんなことを言われた俺だった。
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