さよならをする前に一回ヤらせて

浅上秀

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番外編 初めての家族旅行

3

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大浴場はまだ早い時間だからほぼ貸し切り状態だった。

「はぁ、極楽…」

イツキは肩までゆったりとお湯につかっていた。
身体を洗い終えたショウも遅れてイツキの隣に入ってくる。

「熱くない?」

「大丈夫」

二人の間にまったりと時間が流れていく。
ふいにショウが手を伸ばし、イツキの身体に触れた。

肩から腕に、そして指先に流れて指と指が絡まっていく。

「ショウ…」

イツキが物欲しそうな顔でショウをみる。
そっと二人の顔が近づく。

「あっ…」

あと少しで唇が触れそうになった、その時だった。

「いやぁ、思ったよりも広いな」

ガラガラと音を立てて大浴場の扉が開き人が入ってくる。
二人は少し離れた。

「おや、お二人だけですか?」

入ってきた男性はイツキとショウに話しかけてくる。
人のいい笑顔でイツキが答える。

「えぇ、さっきまで貸し切りでした」

「お邪魔だったかな」

おじさんは身体にお湯をかけながら茶目っ気たっぷりに言った。

「いえいえそんな」

そんな二人を横目にショウはざぶりとお湯から上がった。
そして誰もいない露天風呂に向かって歩き始める。

「それじゃあ私は露店のほうに」

「ごゆっくり」

イツキがパタパタとショウを追いかけてくる気配がする。
ショウは一足先に露天風呂に肩まで浸かっている。

「お待たせ」

「ん」

ショウはイツキの両肩をつかんで、唇を近づけた。

「ん、ふっ、うぅ」

激しく舌が絡み合う音が水面に反響している。

「あ、んん」

お互いの身体を抱きしめあい、素肌で触れ合った。
ゆっくりと名残惜し気に離れると、お互いの真っ赤な顔が目に入る。

「もう上がろうか」

「ん、のぼせそう」

二人はいそいそと大浴場を出た。



「遅かったわね」

部屋に戻る途中で母に遭遇した。

「ちょっとゆっくりしてたんだ。貸し切り状態だったからね」

「あら、そうなの」

三人で何事もなかったかのように夕食を共にした。






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