おじさんとボク

わくわく動物園デート

何年かぶりの再会

ミノルくんの父の弟は非常にイケメンだ。
「おじさん」と呼ぶにはイケメンすぎるので、ミノルくんはいつもスグルくんと呼んでいる。
スグルくんからメッセージアプリに連絡があったのは先週のことである。
長らく海外出張に出ていたスグルくんはミノルくんをデートに誘ってくれた。

「来週久しぶりに帰国するから動物園でも行かないか？」

ミノルくんはアルバイトがお休みなのを確認してスグルくんに返信した。

「行きたい！」

スグルくんと会うのはいつぶりだろう。
思い返せば中学生の時以来かもしれない。
イケメンで彼女が絶えないスグルくんは中学生のミノルくんには憧れの的だった。
ミノルくんも大人になったらイケメンでモテモテになりたいと思っていたが…。

それはさておき、ミノルくんはスグルくんに会うのがとても楽しみだった。

…

ピンポーン。

「は～い」

ミノルくんの家のチャイムが鳴った。
インターホンの液晶には一人の男性が映っている。

「…スグルくんですか？」

「お、覚えててくれた？迎えに来たよ！降りておいで」

「はい！」

ミノルくんは白いクルーネックのトップスに薄緑のカーディガンを羽織った。
黒いスニーカーを履いて、いつも使っている斜め掛けカバンを下げると部屋を出て鍵を掛ける。
エレベーターを使ってエントランスに降りると自動ドアの向こう側に外国車が一台止まっているのが見える。

「ミノルく～ん」

車の脇で一人の男性がミノルくんに向かって手を振っている。

「スグルくん！！！」

ミノルくんは彼の元に駆け寄る。

「久しぶりだね。随分、大人っぽくなったな」

わしゃわしゃとスグルくんがミノルくんの髪を掻き混ぜる。

「わわ、スグルくんは変わらないね…イケメンさんのままだ…」

スグルくんは独身なのが信じられないくらい、イケメンさに磨きがかかっていた。

「はは、ありがとう、それじゃい行こうか」

スグルくんは助手席のドアを開けてミノルくんのことをエスコートをしてくれる。

「ありがとう！かっこいい車だね！」

「ミノルくんと一緒にお出かけするのが楽しみでつい奮発しちゃったよ」

「え？」

どうやらスグルくんはミノルくんとお出かけするためだけにこの車を買ったそうだ。

「かっこいいなぁ」

父親の車が国産車なので外国車独特の内装のこだわりや窓からの景色にミノルくんはさっそく興味深々だ」

「今からそんなに興奮してたら動物園まで持たないんじゃないか？ミノルくん、あんまりスタミナないほうだろ？」

「うっ、なんでスグルくん知ってるの…」

「向うにいた時も兄さんからよくミノルくんの話を聞いてたからね」

朗らかに笑いながら目的地に向かってミノルくんを乗せた車は動き出すのだった。