218 / 644
3章 死神が誘う遊園地
瑠璃、幼少期 1
しおりを挟む
子供の頃、正確に言うと10歳までのあたしはまさに純真無垢そのもので、それはもう天使の子だと言われていた。
もし、その頃のあたしと会えるのなら、天使のようないい子ちゃんの細い首を絞め殺してやりたい。
あたしの生い立ちを軽く説明すると、日本人の父とフランス人の母がパリで出会い、あたしが生まれた。フランスと日本を行き来する生活をしていたようだ。出産は日本らしく数年はそこで暮らしていたらしいけれど覚えてない。
幼児期の記憶はフランスしかない。裕福な家庭でと閑静で広々とした自宅。教育熱心な母。恵まれた環境。幸福と愛に囲まれてあたしは育った。
母と菓子作りをしたり、2人でピクニックに行ったり、ディズニーランドパリにも行ったことがある。そこで買ってもらったダッフィーが一番のお気に入りで、ベッドに抱いて寝ていたりもした。
「るーりー?どこいるのー?」
離れたところから母があたしを呼ぶ。
母の呼びかけには応えずにあたしはいつもの遊び場で3つのぬいぐるみでいつもの遊びをしていた。
ダッフィーを脇に抱え、赤いボタンがついた白ウサギのぬいぐるみに話しかける。
「ばかにしないでよねわたしもないすばでいになるよていだったんだから」
拙い言葉を喋り、白ウサギの片足を摘む。
「瑠璃!」
振り返ると母がしかめた顔をしている。何度も呼んでいたらしい。
「ガレージで悪戯したらダメって言ってるでしょ。パパに怒られるのはママなんだから」
自宅のガレージは地下に設置されていた。当時5才のあたしは「地下」という単語だけで冒険の妄想をしては胸を膨らませて、妄想の再現をしようと試みていた。
「イタズラじゃないよ。ぼうけんなの。これからね、フランと一緒に」
「冒険ごっこもいいけどホットチョコはどう?一緒に作らない?」
「ホットチョコ!」
喜びで身体が跳ね上がり、その拍子で白ウサギが手から離れた。
あたしは急いで白ウサギを拾う。そんな仕草に母は笑った。
「みんなで行こうね。オオカミさんはどこかな?」
母は幼いのあたし を熟知している。あたしがリビングと子供部屋にいない時は地下のガレージで冒険しているし、白ウサギと白いオオカミのぬいぐるみはルージュとブランという名前で必ずペアでなければならないという大人には理解できない子供の信念も知っていた。
あたしは物陰に隠した白いオオカミを取り出す。三つのぬいぐるみを腕一杯に抱えて母とのホットチョコを楽しみに脚を弾ませた。
どれも光に満ちた思い出だった。家にいても外にいても母が傍にいる。思い出の中にもいる。それが暖かくて幸せに満ちていく。
もし、その頃のあたしと会えるのなら、天使のようないい子ちゃんの細い首を絞め殺してやりたい。
あたしの生い立ちを軽く説明すると、日本人の父とフランス人の母がパリで出会い、あたしが生まれた。フランスと日本を行き来する生活をしていたようだ。出産は日本らしく数年はそこで暮らしていたらしいけれど覚えてない。
幼児期の記憶はフランスしかない。裕福な家庭でと閑静で広々とした自宅。教育熱心な母。恵まれた環境。幸福と愛に囲まれてあたしは育った。
母と菓子作りをしたり、2人でピクニックに行ったり、ディズニーランドパリにも行ったことがある。そこで買ってもらったダッフィーが一番のお気に入りで、ベッドに抱いて寝ていたりもした。
「るーりー?どこいるのー?」
離れたところから母があたしを呼ぶ。
母の呼びかけには応えずにあたしはいつもの遊び場で3つのぬいぐるみでいつもの遊びをしていた。
ダッフィーを脇に抱え、赤いボタンがついた白ウサギのぬいぐるみに話しかける。
「ばかにしないでよねわたしもないすばでいになるよていだったんだから」
拙い言葉を喋り、白ウサギの片足を摘む。
「瑠璃!」
振り返ると母がしかめた顔をしている。何度も呼んでいたらしい。
「ガレージで悪戯したらダメって言ってるでしょ。パパに怒られるのはママなんだから」
自宅のガレージは地下に設置されていた。当時5才のあたしは「地下」という単語だけで冒険の妄想をしては胸を膨らませて、妄想の再現をしようと試みていた。
「イタズラじゃないよ。ぼうけんなの。これからね、フランと一緒に」
「冒険ごっこもいいけどホットチョコはどう?一緒に作らない?」
「ホットチョコ!」
喜びで身体が跳ね上がり、その拍子で白ウサギが手から離れた。
あたしは急いで白ウサギを拾う。そんな仕草に母は笑った。
「みんなで行こうね。オオカミさんはどこかな?」
母は幼いのあたし を熟知している。あたしがリビングと子供部屋にいない時は地下のガレージで冒険しているし、白ウサギと白いオオカミのぬいぐるみはルージュとブランという名前で必ずペアでなければならないという大人には理解できない子供の信念も知っていた。
あたしは物陰に隠した白いオオカミを取り出す。三つのぬいぐるみを腕一杯に抱えて母とのホットチョコを楽しみに脚を弾ませた。
どれも光に満ちた思い出だった。家にいても外にいても母が傍にいる。思い出の中にもいる。それが暖かくて幸せに満ちていく。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
捨てられた者同士でくっ付いたら最高のパートナーになりました。捨てた奴らは今更よりを戻そうなんて言ってきますが絶対にごめんです。
亜綺羅もも
恋愛
アニエル・コールドマン様にはニコライド・ドルトムルという婚約者がいた。
だがある日のこと、ニコライドはレイチェル・ヴァーマイズという女性を連れて、アニエルに婚約破棄を言いわたす。
婚約破棄をされたアニエル。
だが婚約破棄をされたのはアニエルだけではなかった。
ニコライドが連れて来たレイチェルもまた、婚約破棄をしていたのだ。
その相手とはレオニードヴァイオルード。
好青年で素敵な男性だ。
婚約破棄された同士のアニエルとレオニードは仲を深めていき、そしてお互いが最高のパートナーだということに気づいていく。
一方、ニコライドとレイチェルはお互いに気が強く、衝突ばかりする毎日。
元の婚約者の方が自分たちに合っていると思い、よりを戻そうと考えるが……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる