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4章 闇底で交わす小指
狂う計画 6
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「十如十廻之白御霊を持ってるわ」
弥を前にするまでは隠しておきたかったけれど、仕方がない。
あたしの発言に天鳥の視線はこちらに向けられた。
「せっかく持ってきてあげたのにこの扱いは何?まるで捕虜だわ。あたしは戦いじゃなくて話し合いをしにきたの。厚意を見せてもいいんじゃない?」
こちらの安全を保証しない限り、十手は渡さない。そうした意図を含めたあたしの台詞。天鳥は一言で済ます。
「知ってます」
ハザマはこれを白鋏・白糸と同じように血眼になって探していた。その割には反応が薄い。
聞いていた話と違うじゃない。
光弥を睨む。彼も困惑して目を見開いていた。
「心配しなくてもただの面談ですから」
眉ひとつ動かさない天鳥の表情は思惑が読みづらい。
清音を行かせればケイは抵抗して暴れる。十手のことを話してもこの反応では交渉は難しい。
カンダタを見ると険しい目つきで周囲を見渡している。この状況を打開する策はないかと探していた。
彼の頭には逃避と言う選択肢はない。
紅柘榴の手掛かりを掴む方法は今のところこれしかない。血反吐を吐いてでも縋るでしょうね。
「私、行くわ」
あたしとカンダタがあらゆる思考を巡らしていると清音が意を決して告げる。
「大丈夫よ、ケイ。だから、暴れないで。ね?」
怯えてばかりかと思ってきたけれど、そうでもないみたいね。
「心配しないで。行ってくるね」
髪が逆立つケイを笑顔で宥めてから清音は牢の入り口へと歩みを進める。
「私だって役に立つでしょ」
「成果を出してから言ってくれる?」
すれ違いざまに囁き合うような会話をして、牢から出て行く清音を見送った。
「殺されるぞ」
清音に宥められたとは言え、ケイは納得していない。
「そう決まったわけじゃない。けれど、その結果を牢で待つつもりもないわ」
階段を上がっていく清音と天鳥の背中を見つめながらあたしは言った。
一人ずつ呼び出して面談をする。怪しさしかないそれに「抹殺」が先に浮かんだ訳だれど、このやり方には違和感がある。
まず、殺すだけなら牢の中で一斉に殺でばいい。それともう一つ、あたしたちを殺すつもりなら牢に閉じ込める前にそうしておけばいい。
そっちのほうが手っ取り早く済む。
天鳥はそれをしなかった。
思惑はどうであれ、すぐには殺さないつもりらしい。
牢を見張るのは2人の塊人。
「なぁ、花夫」
2人のうち光弥が話しかけたのは鼻が花になっている塊人で、まさに「花夫」と見た目そのままの塊人だった。
あたしが話しかけても一瞥もくれなかったのに元同胞の光弥が絡むと狼狽していた。
その後ろであたしはカンダタと肩を並べて光弥と花夫、その周囲を観察する。
「あんなのでうまくいくと?」
彼らに聞こえないようカンダタが小声で話しかけてきた。
「まさか」
あたしは鼻で笑う。
「ちょっとした様子見よ」
「呑気だな」
棘のような一言がケイから放たれた。
ケイにも皮肉が言えるくらいの柔軟性があるのね。
「急かしても仕方がないわよ」
小声同士の会話は見張りに不審感を抱かせる。肌が鱗になっている半魚人は光弥じゃなくてあたしたちに目線を向けている。
その不審さを光弥は感じとって半魚人にも会話を参加させようと絡む。
以前の光弥は塊人たちを指揮する立場だった。そんな彼を無視できずに戸惑いながら対応する。
光弥もそれに気付いているみたいで取り入るよりも長引かせるような会話を続ける。
「光弥は信用できるの?」
あたしの疑問は尤もで、光弥は弥に寝返る可能性がある。それでなくてもあたしとカンダタは何度か嵌められた。
「弥に寝返ることはまずない」
カンダタは確信を持って答える。
「どうして?」
「光弥は弥に怨みを持ちはじめてる。きっかけさえあれば、弥に敵意を向ける」
「そのきっかけが今なの?」
「さあな」
カンダタと違ってあたしには確信を持てるものがない。
弥を前にするまでは隠しておきたかったけれど、仕方がない。
あたしの発言に天鳥の視線はこちらに向けられた。
「せっかく持ってきてあげたのにこの扱いは何?まるで捕虜だわ。あたしは戦いじゃなくて話し合いをしにきたの。厚意を見せてもいいんじゃない?」
こちらの安全を保証しない限り、十手は渡さない。そうした意図を含めたあたしの台詞。天鳥は一言で済ます。
「知ってます」
ハザマはこれを白鋏・白糸と同じように血眼になって探していた。その割には反応が薄い。
聞いていた話と違うじゃない。
光弥を睨む。彼も困惑して目を見開いていた。
「心配しなくてもただの面談ですから」
眉ひとつ動かさない天鳥の表情は思惑が読みづらい。
清音を行かせればケイは抵抗して暴れる。十手のことを話してもこの反応では交渉は難しい。
カンダタを見ると険しい目つきで周囲を見渡している。この状況を打開する策はないかと探していた。
彼の頭には逃避と言う選択肢はない。
紅柘榴の手掛かりを掴む方法は今のところこれしかない。血反吐を吐いてでも縋るでしょうね。
「私、行くわ」
あたしとカンダタがあらゆる思考を巡らしていると清音が意を決して告げる。
「大丈夫よ、ケイ。だから、暴れないで。ね?」
怯えてばかりかと思ってきたけれど、そうでもないみたいね。
「心配しないで。行ってくるね」
髪が逆立つケイを笑顔で宥めてから清音は牢の入り口へと歩みを進める。
「私だって役に立つでしょ」
「成果を出してから言ってくれる?」
すれ違いざまに囁き合うような会話をして、牢から出て行く清音を見送った。
「殺されるぞ」
清音に宥められたとは言え、ケイは納得していない。
「そう決まったわけじゃない。けれど、その結果を牢で待つつもりもないわ」
階段を上がっていく清音と天鳥の背中を見つめながらあたしは言った。
一人ずつ呼び出して面談をする。怪しさしかないそれに「抹殺」が先に浮かんだ訳だれど、このやり方には違和感がある。
まず、殺すだけなら牢の中で一斉に殺でばいい。それともう一つ、あたしたちを殺すつもりなら牢に閉じ込める前にそうしておけばいい。
そっちのほうが手っ取り早く済む。
天鳥はそれをしなかった。
思惑はどうであれ、すぐには殺さないつもりらしい。
牢を見張るのは2人の塊人。
「なぁ、花夫」
2人のうち光弥が話しかけたのは鼻が花になっている塊人で、まさに「花夫」と見た目そのままの塊人だった。
あたしが話しかけても一瞥もくれなかったのに元同胞の光弥が絡むと狼狽していた。
その後ろであたしはカンダタと肩を並べて光弥と花夫、その周囲を観察する。
「あんなのでうまくいくと?」
彼らに聞こえないようカンダタが小声で話しかけてきた。
「まさか」
あたしは鼻で笑う。
「ちょっとした様子見よ」
「呑気だな」
棘のような一言がケイから放たれた。
ケイにも皮肉が言えるくらいの柔軟性があるのね。
「急かしても仕方がないわよ」
小声同士の会話は見張りに不審感を抱かせる。肌が鱗になっている半魚人は光弥じゃなくてあたしたちに目線を向けている。
その不審さを光弥は感じとって半魚人にも会話を参加させようと絡む。
以前の光弥は塊人たちを指揮する立場だった。そんな彼を無視できずに戸惑いながら対応する。
光弥もそれに気付いているみたいで取り入るよりも長引かせるような会話を続ける。
「光弥は信用できるの?」
あたしの疑問は尤もで、光弥は弥に寝返る可能性がある。それでなくてもあたしとカンダタは何度か嵌められた。
「弥に寝返ることはまずない」
カンダタは確信を持って答える。
「どうして?」
「光弥は弥に怨みを持ちはじめてる。きっかけさえあれば、弥に敵意を向ける」
「そのきっかけが今なの?」
「さあな」
カンダタと違ってあたしには確信を持てるものがない。
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