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第1章 美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件

第22話

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 午後の授業はあっという間に終わり、LHRロングホームルームが始まった。

「今日はちょっとやることがあるから、携帯とか弄るのやめろー」

 教室内からは、えー、なにー? という声が上がっている。
 進級してからというもの、LHRは自習とお喋りの時間になっていたのに、今日は何をさせられるのだろうか。

「なに、家庭科の調理実習の班分けだよ。色々あって、次の家庭科の授業で調理実習をやりたいそうだ。班分けが終わったら、作るものも決めてこの紙にまとめて私に出すように」

 じゃあ決めとけよー、とだけ言い残して宮野先生は教室を出て行った。生徒会の担当みたいな話してたし、生徒会選挙とかで忙しいのかね。

「雨音。俺はお前と班を組んで、楽してお前の作る飯が食いたい。しかし、菜々香の手料理も食いたい。俺はどうすればいいと思う?」
「知るかよ。とりあえず若宮さんに声かけてみたらどうだ?」

 まあ、あーしさん一派と共にこちらに向かってきているから、声をかける必要もなさそうだが。

「篠崎、雨音、あーしとみおと組むし」

 え? なんで? もちろん怖いので声には出していない。しかしマジでどういうこと? 篠崎の方に目を向けると、篠崎も驚いてこちらを見ている。ところで澪って誰ですか?

「聞こえなかった? 良いの、悪いの?」
「まだ班員決まってないし、構わないです」

 あーしさんが怖すぎて思わず頷いてしまった。若宮さん、廣瀬、篠崎が何か言いたげな目を向けてくる。待て、俺は悪くない。あーしさん怖いんだもん。文句は是非あーしさんに。

「待ってよ、壮太は私と」
「いいじゃん芽衣。今回は譲ってよ。あーしも澪も彼氏に手料理振舞いたいから、教わりたいのよ。雨音料理うまいんでしょ」
「じゃあ和也君は一緒じゃなくてもいいじゃん」
「いや、篠崎がいないと雨音がさぼる」

 よくお分かりで。女子三人と俺とかになったら、調理実習の日に腹痛か風邪になって病院に行く、と予定表に書かなきゃいけなくなる。まず女子三人と俺一人ってのが無理だし、それがあーしさん一派とか、怖すぎて仮病使わなくても体調崩して休むまであるよ。

「いいじゃん。あーしの話もありだと思えるから耳貸してみ」

 大人しく耳を貸す廣瀬と若宮さん。何を言われたのかは分からないが、ふむふむ、と頷いて、廣瀬はしょうがないなぁ、と手のひらを返した。

「おい雨音」
「なんだ篠崎」
「休まないでくれよ。お前が休むとか言ったら俺は」

 俺の腕をつかみ、少しずつ力をかけてくる篠崎。
 休む、と言おうものなら俺の腕は犠牲になるらしい。

「休まねえから。内申ほしいし」

 副教科の実習はサボるだけで内申が1つ2つ落ちるから、そうそうサボる気は湧かないし。

「で、何を作るんですかね? 菓子作りは専門外だぞ」
「なんか安くて簡単で、それでいて映えるやつ」
「なんか考えておきます」

 映えるやつって何? 安くて簡単ってのはまだいいけど。

「じゃあ、あーし達の班終わりだ」

 場を散々乱したあーしさんはお仲間と共に自分の席に戻っていった。
 マジで何したいんだ。あと、廣瀬と若宮さんの回収忘れてるよ。

「話し合い終わった?」
「ああ、一応は」
「何作るの?」
「それは今考え中」

 丸投げされたけど、何作ろうかな。俺にとって簡単でも、あーしさんたちにとって簡単じゃないってのもあるだろうし。

「若宮さんだいぶ馴染んでるんだね」
「なんだかんだで波長が合ったんだよ、戦犯雨音君」

 戦犯呼びって、根に持たないでほしい。二人で仲良く料理するチャンスをつぶしたのは悪いと思っているが。

「そういえばさ、私生徒会に入ろうと思うんだけど何か知ってる? 部活辞めて放課後暇になっちゃうし」
「生徒会室に生徒会入りたいんですけど、って行けば書類くれるはずだぞ。会長は選挙するみたいだけど、他は挙手制に変わったらしい。なんでも、人が集まらないんだと」

 俺なんて生徒会に対するやる気のかけらもないのに、やたらと勧誘受けるくらいだし。しかし、ちょうどいいかもな。生徒会の担当は宮野先生だし、なんか様子がおかしいことに気づいたら、頼まずとも相談に乗ってくれるだろう。宮野先生はいい先生だしな。俺に対してやたら暴力的だけど。

「壮太よく知ってるね」
「この間手伝いに駆り出されたときに会長が言ってたんだよ。人が集まらないから、選挙は会長だけにするって」

 まあ、その選挙も信任投票になりそうだって言ってたけれども。どんだけうちの生徒は生徒会に関心がないんだよ。まあ、俺もその一人だから偉そうなことは言えないけれど。

「へー、でも生徒会って偉いね、ななちゃん」
「推薦取りたいからね」
「もう進路のこと考えてるの? 早くない?」
「そんなことは無いだろ。進学希望ならそろそろ夏期講習の資料集めとかしてる奴もいるだろうし」
「みんな気が早いよ。私たちまだ二年生じゃん」

 そう言う廣瀬。残念、もう二年生なのですよ。ここくらいの進学校なら、進学を考えてる奴はもう準備を始めている。

「まあ、確かに早いよな。試験で赤点取らないように必死こいてる奴もいるのに」

 某正月にやる駅伝の強豪校から推薦をもらえるんじゃないか、という話があるからと、安心しきって伸びている篠崎に言葉のとげをさしておく。

「まあ、少し先の進路のことより目下の中間試験の心配だな」

 この一言で残りの時間は勉強に充てられることになった。
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