夢に見た婚約破棄が…

夜空のかけら

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私、予知夢を見たわ

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 起きがけに言った言葉がこれ。

 当然、起こしに来た侍女には、何のことか分からない。

 私は、14歳の誕生日を迎える前日で、既に婚約者がいる。

 この国では、15歳で成人するから来年は私も成人しているはず。

 順調なら。

 予知夢は、あまり詳しい情報をくれない。

 はっきり見える部分もあれば、ぼやけていて良く分からない部分もある。

 でも、あれはしっかり見えたの。

 私が、婚約者から「婚約は、破棄」って言ったのは。

 きっと、成人の日の話よ。

 今のところ、婚約破棄するような出来事はないし、状況にもなっていない。

 婚約者とは、ゆったりと仲良し関係。

 でも、彼にいい人が出来たら、私はこっそり身を引こうと考えている。

 
 いつからか、彼の横には可愛い女の子がいるようになった。

 彼も、そんなに邪険にせず、私よりも楽しい光景に一抹のさみしさを感じていた。

 
 15歳の誕生会。
 
 彼から断罪される日。

 でも、ここ1年間は彼との逢瀬はあまりなかった。
 
 べったりな彼女がいたから。

 だから私は、婚約破棄と同時に、消えてしまおうと考えていた。

 「みんな聞いてくれ!婚約者と今日、婚約について重大な発表がある」

 いよいよね。

 彼女には何もしていないけれど、断罪されるのね。

 「婚約者前へ」

 彼にそう言われる。

 予知夢で見た光景に近づいて行く。

 確かに1回見ているのに、いや、見たからか怖い。

 私は、彼のことを信じていたい。

 決して変わらないと思っている私の思いをなくさないで欲しいと。

 「婚約者である彼女とは、”婚約は破棄”しない。隣にいるのは、隣国の間者だ。捕まえろ」

 女の子は、びっくりしていたが、捕まえる際に少し騒動になってしまった。

 婚約破棄の後の断罪で、騒ぎになったのと思っていたのに。

 予知夢。

 見た夢は、正しかったのか、間違っていたのか。

 今は、よく覚えていない。

 幸せになったから…。
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