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お酒に飲まれる令嬢のお話w

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「聞いてんのか、こらぁ」

「聞いてる、聞いてるよ…はぁ」

「だからな、おまえが浮気をすると、俺が断罪されるんだ」

これだけの会話で、全て分かる人がいたら、そいつは神さまだ。

「なぁ、いくら個室で食事をしていても、大きな声を出せば、周囲に筒抜けになるんだ」

「ふん、こんな高級店。脛に傷を持つような男は入店しないし、令嬢なんてくるもんか」

「君がいるじゃないか」

「俺か?俺は、令嬢なんかじゃねぇ!」

俺と言っているのは、僕の婚約者で公爵令嬢のヒララ

ちなみに、その妹がレモンという。

妹は、婚約者候補のまま。

たぶん、この酒草の悪さのせいだと思う。

「おねぇちゃん…」

救世主か…と思うかも、だが…

「こっちもおいしいよ」

こっちは、しらふに見えるが、ミスリルの肝臓持ち。

ザルを通り越して、底がない樽だ。

もちろん、酒樽。

「2人とも、大事な話があったんじゃないの?」

「あ、そうだった。お酒のおいしさに忘れてた」

「あ~?任せた」

「お姉ちゃんたら~w」

「浮気するなよ。俺が…」

もう、グタグタ…

「実はね。王子さまの婚約者が1人増えることになったの」

…?

「私、レモンが婚約者です。これからも、よろしくね」

「よ、よろしく?」

「まぁ、婚約者候補が婚約者になっただけだし、2人と一緒にいても問題ないようにだから」

「監視?お目付役?ヒララの?」

「ううん。バルス王子の」

「そ、その名前はちょっと」

なぜか、自分の名前だけど、果てしなく落ちていくような気分にさせられる。

なぜ、だろう。

「国名も似ているのに、どうして?」

バルサ王国。

なぜか、脆いと感じる。

他の国民は、そんなことはないと言うが。

「それで、僕の監視って…浮気?」

「浮気はないと思うわよ。でも、保険があれば憂いなしでしょ。お姉ちゃんで満足しなかったら、私としましょうよ」

…酔ってる?

「おい!聞いているのか、おまえが浮気をしたら…ひっく、俺が…ひっく、断罪…ひっく、してやるんだからなぁ~!」

微妙に繰り返しているような、そうでないような。

「ふふ、私ならいいよ。これからでも」

「いや、遠慮しておきます」

王太子ではない王子。

気楽な身分のはずなのに、公爵令嬢(酒癖悪い+底なし酒樽)で、お先まっくら…?
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