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第55話 幼い時の思い出
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小学生の時の話。
昔は、関東地方の山だらけの場所で暮らしていた。
近所は全部親戚という、今考えれば特異な環境だったと思う。
ただ、同い年の子は、私ともう1人の女の子しかいなかった。
その子は、小学校6年生の時に家族とともに急に引っ越していった…と思っていた。
違うと気がついたのは、中学の卒業式の時だ。
たまたま親戚一同でお祝いをしていた時に、ぽろっと出てしまったのを聞いてしまった。
“神隠しに遭った”
女の子とその家族は、引っ越したと言っていたが実際は違っていたのだった。
幼なじみで一緒に成長していくと思っていた相手がいなくなった。
最初はかなり落ち込んだ。
しかし、今は昔ほど落ち込まず、それでいて達観している訳でもなく、心に少しの違和感を感じながら高校3年間を地元で過ごし、就職にあたって都会に出た。
就職先は、技術を生かすことができる特殊な会社だった。
そこで20年も勤務することになるとは思わなかった。
そして、今。
40歳になり、少しは趣味を持とうとして初めてのゲームがこれだった。
政府系娯楽施設に設置しているVR機器。
身体と脳などの中枢器官を保護するための装置。
ゲームのつもりで入った場所が現実なんて考えられない。
そうゲームだ。
遊びだ。
昔、似たような遊びをした感じがする。
地元に住んでいる知り合いの真似をして、他の知り合いを騙すという遊び。
ほとんどの場合、見破られるけれど、たまには間違えられるのが楽しかった。
いいや、本当はあの子と遊ぶこと自体が楽しかった。
楽しかった時間は、遙か彼方に行ってしまい、今は何もない。
自宅は寝るだけ、昼間は仕事。
たまの休日は、寝だめな感じで趣味も特技もない。
なぜ、今そんなことを思い出したかと言えば、望むものを見ることができる窓があったから。
幼なじみで神隠しにあった女の子のことが知りたくなってしまった。
今、どこで何をしているのか。
見るだけでもできればいいなと考えていた。
再会は無理でも、それだけなら、望むものとは少し違うかもしれないけれど。
そんな想いが窓に出たと想っていたら、なぜかトーコが映し出された。
?
後ろに立っていたトーコを見る。
「くすっ」
トーコが小さく笑う。
何か秘めているものがあるのか?
「お兄ちゃん。思い出した?」
トーコがそんな言葉を掛けてくる。
そう、昔はそう呼ばれていた。
同い年なのに、女の子に「お兄ちゃん」と。
「トーコ?」
その名前は、ゲーム開始直後に会った女性の名前のはずだった。
いきなり結婚。
そして神族。
なんの縁もゆかりもないはずだった。
「私の昔の名前はね。清水 塔子。お兄ちゃんの幼なじみで神隠しにあったと言われていた女の子」
びっくりはしなかった。
なんとなく、そんな感じはしていた。
昔の雰囲気に似ていたからかもしれない。
「私の家族はね、神格持ちだったの。まぁ、地元では神主もしていたし。でも、私はね、11歳の時に神格が高格してしまって、神族になってしまった。奉る立場から奉られる立場に変わってしまった。だから、周囲に迷惑を掛けないために、家族全員で神隠しという名の神格域への引っ越しをしたの」
「そうだったのか」
だから窓には、トーコが写ったのだ。
昔は、関東地方の山だらけの場所で暮らしていた。
近所は全部親戚という、今考えれば特異な環境だったと思う。
ただ、同い年の子は、私ともう1人の女の子しかいなかった。
その子は、小学校6年生の時に家族とともに急に引っ越していった…と思っていた。
違うと気がついたのは、中学の卒業式の時だ。
たまたま親戚一同でお祝いをしていた時に、ぽろっと出てしまったのを聞いてしまった。
“神隠しに遭った”
女の子とその家族は、引っ越したと言っていたが実際は違っていたのだった。
幼なじみで一緒に成長していくと思っていた相手がいなくなった。
最初はかなり落ち込んだ。
しかし、今は昔ほど落ち込まず、それでいて達観している訳でもなく、心に少しの違和感を感じながら高校3年間を地元で過ごし、就職にあたって都会に出た。
就職先は、技術を生かすことができる特殊な会社だった。
そこで20年も勤務することになるとは思わなかった。
そして、今。
40歳になり、少しは趣味を持とうとして初めてのゲームがこれだった。
政府系娯楽施設に設置しているVR機器。
身体と脳などの中枢器官を保護するための装置。
ゲームのつもりで入った場所が現実なんて考えられない。
そうゲームだ。
遊びだ。
昔、似たような遊びをした感じがする。
地元に住んでいる知り合いの真似をして、他の知り合いを騙すという遊び。
ほとんどの場合、見破られるけれど、たまには間違えられるのが楽しかった。
いいや、本当はあの子と遊ぶこと自体が楽しかった。
楽しかった時間は、遙か彼方に行ってしまい、今は何もない。
自宅は寝るだけ、昼間は仕事。
たまの休日は、寝だめな感じで趣味も特技もない。
なぜ、今そんなことを思い出したかと言えば、望むものを見ることができる窓があったから。
幼なじみで神隠しにあった女の子のことが知りたくなってしまった。
今、どこで何をしているのか。
見るだけでもできればいいなと考えていた。
再会は無理でも、それだけなら、望むものとは少し違うかもしれないけれど。
そんな想いが窓に出たと想っていたら、なぜかトーコが映し出された。
?
後ろに立っていたトーコを見る。
「くすっ」
トーコが小さく笑う。
何か秘めているものがあるのか?
「お兄ちゃん。思い出した?」
トーコがそんな言葉を掛けてくる。
そう、昔はそう呼ばれていた。
同い年なのに、女の子に「お兄ちゃん」と。
「トーコ?」
その名前は、ゲーム開始直後に会った女性の名前のはずだった。
いきなり結婚。
そして神族。
なんの縁もゆかりもないはずだった。
「私の昔の名前はね。清水 塔子。お兄ちゃんの幼なじみで神隠しにあったと言われていた女の子」
びっくりはしなかった。
なんとなく、そんな感じはしていた。
昔の雰囲気に似ていたからかもしれない。
「私の家族はね、神格持ちだったの。まぁ、地元では神主もしていたし。でも、私はね、11歳の時に神格が高格してしまって、神族になってしまった。奉る立場から奉られる立場に変わってしまった。だから、周囲に迷惑を掛けないために、家族全員で神隠しという名の神格域への引っ越しをしたの」
「そうだったのか」
だから窓には、トーコが写ったのだ。
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