遊ぶつもりでログインしたら、融合異世界という現実だった。

夜空のかけら

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第61話 猶予→諦め

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「すぐには決められない。せめて、両親だけは会っておきたい」

どちらにせよ、両親の顔くらいは見ておきたいと思った。
就職してから全く帰っていない故郷に、初めて帰省してみようと思ったのだが…

「あ~、う~ん、いや~」
「あーこの手があったねぇ~」

2人の反応がおかしい。
ともえ様は何か嫌なことがあったのか、頭をかいて上を向いているし、トーコはポンと手を叩いたりしている。

「あ…、うん、確かに大事だね。じゃあ、3人で行こうか」

態度が軟化するともえ様。
行こうと自分で言ったのになぜか嫌そうなのはなぜなのか。

「ともえ様?無理に行かなくてもいいと思いますが?」

トーコはともえ様を心配そうに見ている。

「私一人で行きますが?行かせてもらえるなら」

ともえ様が何かを振り切ったように答える。

「いいや、行く。どうせ呼び出されるし、そっちの方が怖い」
「怖い?」

その言葉に答えずに、ともえ様がトーコに何かを言っている。

「え?本当にいいんですか?30年ぶりですよ、あの里で最長者よりは短いと思いますけれど???」
「いい。私が判断したし、最近高格したから」
「やった!みんなに話してくる」

そういうとトーコは消えてしまった。

「まったく、行くならいきなりはダメだって」

ともえ様はいなくなったトーコに言いたいことがあったらしい。

「あ~、説明は少し待っててね。状況も違っちゃったし、他で進行中の事も片付きそうだから、一緒にやってしまうつもりよ。ああでも、あの婆ちゃん苦手なのよね」

なぜだろうか。
“婆ちゃん”が誰を指すか分かってしまった。
しかし、なぜともえ様が婆ちゃんのことを知っているのだろう。

「言ってきました。いつでもいいそうです。一応長期休暇を取得したそうで、2ヶ月でも1年でも大丈夫です」

2ヶ月と1年だと、凄い差がありそうだが、その点はいいのか?
トーコ。

「出発前に謝っておきたいことが、あと、それをあっちの“婆ちゃん”に言わないでおいてくれると、大変大変ありがたい…です」
「何のことを言っているか分かりませんが、謝っておきたいとは?」

ともえ様と隣にトーコが並んで、こちらに頭を下げながら衝撃の言葉が…

「さっき言ったことはウソです」
「は?」
「1週間で死んでしまうとか、幽閉とかです」

2人は、頭を上げると

「いやね、ばっさり言ってしまえば、未練もないし、あっても仕方が無いし、あっちの世界を旅するなら、いいかと思って」
「ともえ様の悪ふざけに乗っかりました。ごめんなさい」

気が抜けてしまった。
そこで気がついた。
なぜ“婆ちゃん”に言ってはいけないのだろうか?
むしろ、相談した方がいいのか?

「分かりました。この事は、“婆ちゃん”にも相談して決めます」

「ああああ…それだけは~」
「ともえ様、諦めましょう。諦めも時には必要です」
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