遊ぶつもりでログインしたら、融合異世界という現実だった。

夜空のかけら

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第63話 ひとりごと

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「帰省、早めにね。こっちも準備があるから」
「はい」

 そう言うと、ログアウトの操作をしてこの世界から、元の世界に戻っていったのだ。
 どちらも現実とは思えない状況で。

 戻れば、日常が迫ってくる。
 帰省準備は遅々として進まない。

 ふらっとそこまでという感じでログアウト後3日も経った時だった。

「帰省準備なんてしなくてもいいから、すぐに帰りなさい」

 姿は見えずとも、ともえ様の声が聞える。
 ログアウト前の操り人形のことを思い出して、すぐに帰ることにした。

 財布とスマホ、タブレット、パス、おみやげの栗まんじゅう。
 もちろん、おみやげは婆ちゃん用だ。

「これでいいかな」

 誰も居ないのに、そうつぶやく。
 一人暮らしを始めると、独り言が多くなる。
 誰も聞いていないのに、話したくなるのだ。
 声を出すのも、意味の無い言葉ではなく、きちんと意味がある言葉だ。

 そして、独り言で賛同する他人がいる訳でもないのに、自己完結で

「問題なし。それじゃあ、出発」

 と言ってしまう。
 そんなことを知らない他人から見たら、どう思うのだろうか。
 無論、他人が普通にいる場所で独り言は言わない。
 たまに出てしまうけれども。

「準備、できたようね。それじゃあ、駅で待っているわ」

 ともえ様、今まで見てたのか??
 かくれんぼか…。

「黙ってみていないでくださいよ。恥ずかしい」
「一人暮らしは知っているから、気にしていないわよ」
「分かっているなら…もう、いいです」

 泥沼に落ちるのは止めよう。
 きっと、這い上がってくることができない底なし沼だから。

「行ってきます」

 ちいさく、それでいて自分の小さな小さな城=部屋にしばしの別れを告げると、外に出た。

 故郷までは、電車で行くことにした。
 元々、そんなに離れていなかったことで、帰省ということを考えなかったのもある。

 駅に行き、パスにちょっと多めの金額をチャージ。
 改札に入るために自動改札機を通ろうとしたら、止められた。

 忘れていたよ。
 そんな機能。

 後ろの人は迷惑そうに、別の列へ。

「警告!有人改札へお願いします」

 仕方なく、有人改札の方へ。

 パスを見せると、駅員が

「…不可侵領域ですか。資格がないと罰せられますが」
「元住民です。問題はないと思います」
「分かりました。接続駅での準備で少しお待ち頂くかもしれません」
「はい。その辺りは知っていますから大丈夫です」
「そうでしたか。それでは、短いですが、良い旅を」

 そういうと駅員は一礼をした。

「ありがとう」

 そう返すと電車へ乗るためにホームへ。
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