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第2章 トモエ天国

5 トモエ天国

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入学式とその後にあった、学力・矯正教育を難なくクリアして、やってまいりました、トモエ天国です。
システムライセンスを持って協力したので、入島料不要&王族扱いです。
もちろん、島にいる王族は全員が実体を持っているわけではない。一部は、違うけど、そこはちょっと奥の手を使って、実在の人物(?)を複製して持ってきている。
もちろん、本人の許可はもらっているが、実は本人がやっていたりするから気が抜けない。

身分については、王族になることができる”資格”ということで、身分は下位であれば何にでもなれる。
王族になる資格を持ちながら移民という選択も可能。する人はいないと思う。
制限事項が多いからね。

貴族なども下位を選択できるけど、元々の入島料を下げればいいだけだから、貴族最高位の入島料を支払って平民をするなんて、奇特な人はいないと思う。
もっとも、本来の身分を隠して平民をやっている人はいる。

例えば、平民は国の民認識なのに、移民はあくまでも一時滞在者扱い。
一定期間ごとに税金という名の滞在費(1G=金貨1枚)を支払う必要が生じる。もちろん、島内通貨で。
無料で滞在できるのは、5日間と決められていて、6日目からは5日分ごとの滞在費となる。
滞在費5回支払いごとにボーナスとして追加5日間が無料で進呈される。
3か月滞在で、追加10日間。
半年間滞在で、5Gのボーナス
1年間滞在で、平民に格上げとなる。

入島と退島を繰り返しても、滞在期間は累積しない。
連続滞在しないと毎回移民からやり直しになるうえ、島内通貨は持ち出せない・貯金できないので、なるべく長く滞在しようとする人が多い。
島内通貨は、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白貨、貴貨、王貨、神貨の8種類。
ただし、金貨と同等の通貨があり闇貨、白貨と同等の通貨は黒貨となっている。
2つの同等通貨は、地下世界でのみ使用可能。

世界が変わる前の通貨(日本)で言うと、こんな換算表があった。
鉄貨=1円
銅貨=10円
銀貨=100円
金貨(闇貨)=1万円
白貨(黒貨)=100万円
貴貨=1億円
王貨=100億円
神貨=1兆円

ただし、神貨は、王城内に1枚だけ存在する。レプリカは、島外の博物館に展示してある。
レプリカでもホログラム付きで奇麗なのだが、手で触れることはできない。神様と同等という位置づけ。
神様を一般人がレプリカであっても触れるのは、不謹慎という意味。
触れるのは、トモエ天国の神様である、トモエと数名だけ。
俺と奥さんは、触れることができるけど、ありがたみは微妙。
アイデア提供は奥さんだし(デザインは、俺も協力させられた。)

王貨は、王様からの褒賞でのみ発行。これも王城内に10枚だけ存在。褒賞とはいうものの、渡されるのは王族限定となっており、貴族へ渡されることはない。いわゆる、記念式典での見せ金。価値はあるけど、使えない。式典が終われば、返却。その分の白貨をもらえることになっているが、1万枚ももらってもねぇ~。なので、現物支給である。(お城とか、お屋敷とか、秘密の地下室とか。俺なら秘密都市がいいな)
ただ、謎物質でできている。材質は不明。とても堅くて重い。これで壁を叩いたら、壁が壊れた。落とすと大変である。硬度は100以上と聞いた。

貴貨は、貴族専用の通貨。
王家から貴族への補助金・助成金・年俸・褒賞などに使われる。
貴貨は、王城内の両替所でこれに両替する必要があり、貴貨は一般に出してはいけないことになっている(出したら、ペナルティ。つまり奴隷落ち)。しかも、きっちり両替手数料を取る。さすがだ。
こっちは、意地悪かという材質。謎物質なのには違いない。ただ、脆く薄く軽い。慎重に扱わないと崩れて消える。渡される前に両替をした方が得策である(新興貴族には、渡される前に説明がある。いわく「非常に壊れやすいので、貴貨をもらうのではなくて、手数料を支払って白貨に両替した方がいい。きっと後悔する。仮に、端でもヒビを入れたら、価値がなくなる。再支給はないので、そのつもりで」…はっきり言って、王族による貴族いじめなんだろうけど。自己責任でお願いします)。

白貨(黒貨)からは、一般流通している。
もっとも、使っている人は貴族くらいで、商人でも扱わない。

平民のほとんどは、ギルド職業組合クラブ趣味嗜好の同好会に所属している。両方の人もいるけど、そこからパーソナルカードが出ている。ステータスカードとかギルド証、身分証明書とか、みんな好き勝手に名前をつけているようだが。各所属先に口座があり、そこに入金すると、現金を持たずにお買い物ができる仕掛け。
カードの盗難の危険性はなく、物理的なカードではなく、DNA(ともう1つ)に紐づけされているので、偽造も困難である。
たまに、貨幣で購入しようとすると、両替手数料と口座使用料、警備料を上乗せされる場合がある。
(高額硬貨だと、すごく嫌がられる。貴族は大変だ。)

***
トモエ天国では、入島時にシナリオと呼ばれるものを3つ選ぶことになる。
メイン1つにサブ2つという構成。
このメインには、王道なものもあるが、ちょっとおかしいとしか言いようがないものがある。
家族入島の場合は、家族で登録なので、同一のものを選ぶ必要がある。
その代わり、人数分のサブシナリオを追加できる。
うちは、4人だから基本の2つに加算して、6つ選べる。
メインシナリオにサブからの影響が加算されるそうで、それにより全く同じシナリオが発生しないようにしている…らしい。

公式ガイドブックまであったり、入島案内が”入島のしおり”になっていて、まるで遠足気分。
実際、メイン1つだけで滞在期間10日間、同時入島10人以上のセットパックなどがあって、オトクとか、遠足とか修学旅行とかに使われたりする。
多人数になれば、中継器を持って、遠隔操作できるような形での入島も可能だが、時間にずれが生じるのでお勧めはしない。それよりも、交通手段を提供する場合があるけど。

あんなでっかい島?元々の地球ならできなかっただろうね。
世界が変わった時、地球は元々の大きさから、さらにさらにさらに大きくなった。
静止衛星が地表から約3.6万キロメートルにあったはずが、軒並み大気圏突入したらしい。
どれくらい大きくなったんだか。

そうそう、大きくなったことで、大発見もあった。元々の地球の大きさの惑星が発見されたんだ。
その星。元々の地球と太陽をはさんだ反対側にあって、しかも表面に薄いシールドっぽいのがあった。そのシールド、トモエ天国にある生体フィルターと同じものなんだけど。
…ふふふ。
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