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73回目 召喚されたのは、聖女と誰が決めた?

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前回の時、ももちゃんと話し合って、色々決めた。
とても楽しかった。

身分は、誰にも邪魔されない王女だったけれど、嫁がなかったから。
今までにない贅沢もさせてもらった。

まぁ、この話しはここまでで、

今回、私は聖女見習いです。

男爵令嬢として、巫女や聖女のお世話をするのが目的です。

でも、採用者全員に課せられた身分称号の確認時に“聖女見習い”と出てから、生活が一変しました。

一応、聖女見習いという事で、それまでのしなければいけないものが、

世話係にやらせることとなってしまいました。

やらせないと、徳が詰めないという意味不明な言葉とともに。

しかし、私の世話をしようとする者は現れず。

自分でやるしか無かったのです。

そして、年に一度の聖女認証の日。

聖女になるか、聖女見習いのままか、称号なしになるか。

でも、もっと人気を集める。

お布施や寄付が増えることを目論んで、教会上部は、聖女召喚を大々的に実行しました。

町の上空を埋め尽くすような巨大な魔法陣。

中心から光り輝く球体に眠るかのようにある女性。

「聖女だ!真の聖女が降臨された!」

まるで、私たちが偽者な扱い。

実際、その後の扱いはヒドイものだった。

お布施も寄付も、思い通りになった教会上部は私たちを町下に放り出した。

偽者として。

町の人からも、阻害された私は町の外へ追いやられ、町の方を見て絶句した。

町全体が黒い何かに覆い尽くされていた。

「はやく合図が来ないかな。おれ、腹が空いたよ」
「壊していいんだろ。人も建物も何もかも」
「魔法陣から現れたから聖女なんて可笑しすぎ」

そんな声が、防護壁の中から聞える。

「あら、偽聖女さま」

その声は、真聖女の声だ。

「何をしようとしているの?」
「あら、この町を喰おうとしているのよ」
「そんな」
「あなたは、ここから立ち退きなさい。消化不良を起しそうだから。これでも持って」

渡されたのは、ポーチ。

「その中の物は自由に使って良いわ。私たちには必要が無いから」

ポーチから出した服やリュック、お金などが外から見た容量以上の物が入っていた。

「それじゃあねぇ~」

得体の知れない何かから、得体の知れない容量のポーチを持って、得体の知れなくなった町を後にする。

微妙な感じがしたけれど、教会のあった町から生まれ故郷を目指す。

後に、召喚魔人に喰われたというニュースから、あの時に会ったのは魔人ということが分かった。

「うん。横着はダメねということかしら」

生まれ故郷で、聖女となった私は日々の忙しさに達成感を得つつ過ごしていた。
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