上 下
103 / 190

103回目 みんなに必要

しおりを挟む
「どうか、この子を救ってください」

そう言って、息も絶え絶え、抱いている子どもを心配する女性。

その子の額に手を当てて、囁く。

「早く元気になるといいね」

その子の顔色が劇的に代わる。

「ああ、ありがとうございます。ありがとうございます」

私は、庶民に愛された聖女…もどき。

聖女なんて、ご大層なものではないけれど、溢れる魔力の向う先を変えれば、こんな感じ。

「お前か。ここでゴミどもを治しているというのは」

「げっ…」

「お前に治してもらいたい者がいる。連れて行け」

なんとなく、見えてきたわね。

次代の聖女なんて言うの?

「次代の聖女かもしれん。それなりに丁重に扱え」

やっぱりー

「記憶をいじった方が早いか」

じりじりいじいじいじーパン。

「んんん?」

私は馬車を止めて、降車。

不届き者の記憶操作して、次代の聖女なんて探さないようにしました。

そして、

みんなの場所へ行っている最中に、馬車は表に行ってしまいました。

みんなに笑顔を取り戻すために頑張るわよー
しおりを挟む

処理中です...