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11 ともえ様

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「作業の仕方は指定しなかったとは言え、これでは他の依頼者が中に入れない。君の依頼は、これによって未達成とさせていただく」

ソロでも他の依頼との協調性が必要ということだった。
あ~、おいしい依頼が…

今日はなんだかもう嫌になってしまったので、ゲームから退場。
そしてまたこのメッセージが…

「救援を求めています。異世界へ向いますか?」

「…行きません!」
「本当に?」
「何が起きるか分からないのに行けるか!」
「分かりました」

メッセージは閉じた。
毎回思うのだが、なぜ私のパソコンには意味不明なものが出るのだろう。

ピピピ、ピピピ、ピピピ…

おっとスマホスマホ…なんだか珍しい人からの電話だ。

「はい、飛鳥みどりです」
「こんばんは」
「あ、こんばんは。お久しぶりです」
「そうね。お願いがあるのだけど、いい?」
「お願いですか?」
「そう、ちょっと一郎さんのところへ行って欲しいの」
「一郎さん?朝日のお家の?」
「そう、ちょっと通り魔に刺されて天に行ったけれど、応援要請が来たの」

天と言った。
天国に似た非なる場所を故郷では、“天”と言っている。
その天なのだろうか。

「何をすればいいのですか?」
「それは、あちらにいる“ともえ”に聞いてちょうだい」
「ともえ様ですか」
「そうともえ様」
「分かりました」

ともえ様は特別な存在。
その存在からのご指名。
拒否はできないなと思った。

「キャラクターで行ってもらえばいいから、勤務先などへはこちらから連絡しておくからよろしくね」

キャラクター…、あれか。
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