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112 強制依頼があるかも

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ハジメは、だいたい10分で出て来た。
お風呂に入ったけれど、湯上がりな感じはなくカラスの行水みたいな感じだったのかもしれない。

「リラックスできた?」
「ちょっと熱かったけれどな」
「冷めたお湯よりはよかったでしょ」
「それもそうだな」
「ちょっと待ってて」

お風呂場に入って、中の水を全部流しておく。
周囲の空気を温かくして、陶器表面の水を乾かせば終わり。
お風呂場から出て、

「さ、部屋に戻りましょう」

部屋に戻ってすることは、扉と反対側にある窓際にテーブルと椅子を置いて、廊下から私たちの声が聞えないようにすることだった。
内容が内容だけに、他人には聞かせたくなかったからだ。
一応念のため、魔法で周囲の状況を監視しておきましょう。
…うん、不審者はいないようね。

内容は、あのゴブリンの話だ。

「もしかすると、明日。ゴブリンを討伐する強制依頼が入るかもしれないわ。あまり集落が大きくなると色々やっかいな問題が起きてくるのよ。でも、まだ決定じゃないから迂闊なことは言えないし」
「それがすぐには言えなかった理由か」
「そうよ。明日になれば分かるかもしれないけれど。で、どうする。今日はここまでで帰還する?」
「帰還しよう」

即答だった。

やっぱり慣れないことをやって疲れたのかな。
少し心配にはなったが、何も言わずにこの世界から退去することにした。
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