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59 人にライトを向けてはいけません

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それから、親父と合流して自宅へ帰る。
徒歩で。
この神社の周りは、基本的に田んぼなので街路灯がない。
稲の生育に影響があるからだが、真っ暗の度合いが半端ないためライトは必要でしかもかなり光度が高いものでないと田んぼに落ちたりする等危険性が高い。
俺も親父に貸してもらい使っているが、人に向けてはいけないライトだ。
必ず地面に向けて使う。

「いつもあんな感じのイベントなのか」
「ここでするときはそうだな。町の外のイベントだと来場者の帰宅の問題があれば昼間開催になるが、ともえ様は来ないから面白さ半減という感じだな」
「町の外のイベントって何をやるんだ」
「占い系のイベントだな。あとは神社が少し出てくるか」
「占いねぇ…、神社も、何をしているのか全く見当がつかないのだけど」
「その辺は、町の外にいる連中に任せているからよく知らないな。ああ、町の外ではきちんとした企業体になっているからな、まぁ社長は町長だけど」
「社員も役人か?」
「何人かいるな。出向という形で、町の外に出て行った者が就職で戻った者がまた町を出て、そこに入っている」
「全くの無関係者もいるということか」
「無関係だが、きちんと面接はしているよ。神格調査もしているから、町に来ることが出来れば合格だ」
「神格調査って…?」
「神社でお祓いをして確認するのだが、直接作業されているのは嬉々としてともえ様だと聞いている」
「何をやっているのだろうか、ともえさんは」
「そう言えば、なぜともえ様のことをさんづけで呼んでいるんだ?ともえ様に何か言われたか?」
「そういえば何故だろう。ともえさんにも何も言われていないから、そのままでいいかって感じになったのだけど」
「そうか、これから変更するのも失礼になるかもしれないな。上司に様づけするのもおかしな感じはあるし、ただ誤解される可能性はあるから注意しろよ」
「ああ、分かった」
「それと」
「ん?」
「おまえ自宅大変だったぞ」
「自宅?」
「失踪ということで自宅に行ってきたのだが、荷物が散らかっていて持ってくるのが大変だった」
「あれ?自宅にあったものは全て今の住まいにあるぞ?」
「やっぱりか」
「何かあったのか」
「今は物置に入れてある。中身を見てみるといい」
「りょーかい」

おかしいな、確かに自宅にあったものは全て今の住まいに届いていると聞いたのだけど、そこも当初の状態から変わったということか?
何にせよ、確認する必要はあるよな。

「今日はもう遅いから、確認するのは午後にしておけ」
「そうする」
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