異界審査官の巻き込まれ人生記

夜空のかけら

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61 神域のタケノコ

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「この町はな、天使は元より神さまだって口座が作れる唯一の場所なんだ」
「すると、神さま専用口座があるのか」
「あるぞ。しかも口座に入ってくるお金が尋常じゃない金額だ」
「世界中から入ってくるのか」

興味津々に聞くと…

「どこから入ってくるのか分からないし、どういう風に出て行くのか分からないが、きちんと入出金管理しているぞ」
「どこから?」
「俺も口座管理課の連中から聞いただけで、詳しいことはあまり知らないのだがな」

この町役場は他の一般的な役場とかなり違う形態じゃないのだろうか。

「そういえば、ふるさと納税ってやっているのか?」
「やっているぞ。主に占い中心の返礼品になっているが」
「想像もつかない」
「神社を囲む竹林は、放置するとすごい勢いで周囲を竹林に変えていくから、タケノコの時に取るだけ取って、加工して返礼品に回している」
「タケノコ?占いと関係なさそうだけど」
「バカを言ってはいけない。神社区画、すなわち神の領域から取れるタケノコだぞ。御利益が詰まっていると思わないか?」
「そういう見方もあるのか」
「タケノコ8本で1万円だ」
「高くない?」
「普通よりも低くしている。もちろん、お札付きだ。成長祝いと出世祝いだが」
「商売しているなぁ」
「主要産業が、神社関係だからな。米や野菜もあるが、一応奉納してから檀家で地産地消だから、他に出すには色々と問題が」
「…つくづく変な町だよな」
「そう言うな。特殊性のために飛び地にもなっているのだから」
「飛び地?」
「ありゃ知らなかったのか?ここは東京都じゃないぞ」
「え?」
「政府の直轄地で、都道府県には所属していない」
「なんだそれ」
「それだけ特別な場所ということだな。カモフラージュで、東京都に所属しているように見せているし、道路も繋がっているように見えるが、気がつくと全然違う場所にいるなんていうのは、日常茶飯事な話だ」

この町には色々な不思議が隠されていると思った。
しかし、子供の時には何も感じなかった。
町を出て、高校へ通っていた時も不思議に思わなかったのは、何かしらの力が働いていたからなのだろう。

「なぜ、もっと早く知らなかったのか」
「男はどうしようもない。女は巫女という神職を与えられているから、子供のうちからここが特殊な場所というのは知っている。町役場の特殊性、町自体の特殊性、そして自分達のことだ」
「巫女か、転生者集団と言っていた」
「そうだな。一郎は、この町での神職にならずに直接上に上がってしまったから、まだ全容が掴みかねていると思う。その辺りはともえ様や他の方に聞けばよかろう。聞けば…たぶんおそらく教えてくれるかもな」
「ずいぶん不確かな話だな」
「ともえ様が面倒くさいことをするかなと思ってな」
「教えてくれそうな人を知っているから大丈夫だよ」

そう、コア・ブレインなら間違いなく教えてもらえる。
人かと言われると違うと思うけれど、その辺りは言わなくていいでしょう。
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