上 下
1 / 1

断罪されて処刑され、転生したら、世界中の人の性別が変わっていた件について

しおりを挟む
 おかしいおかしいと思っていた。

 初めまして、私は公爵家の跡継ぎです。
 でも、転生前は女…公爵令嬢だったと思う。
 思うという曖昧なのは、私の今の王家の婚約者である王女の前世がなんとなく王子の様な気もするけど確信が持てないから。
 今の親友にも、なんとなく私を断罪した男爵令嬢の転生後の人がいたり、私の取り巻き(当然、令嬢)が、全員男になっていたりと、転生した時に性別が逆転したような形。

 生まれてすぐに気がつきましたよ。
 だって、女だった頃の感覚と全然違っていたから。

 しかも、前世でも双子だったけれど、今回も双子だけど兄は妹になっていたり、父は母に使用人まで性別逆転。
 本人たちにその意識があるかどうか不明だけれども。

 「おい、この状況、おかしすぎないか?」
 「ああ、ここまで完璧に性別が逆転しているのは、前世を知っている身としては混乱するばかりだ」

 話相手は、前世で私を断罪した男爵令嬢。
 世界中の人物の性別が逆転していることに気がついた時、男爵令嬢も男爵令息、すなわち跡継ぎになっている可能性が高いと思って、探した結果が今の状況。
 前世のわだかまりは消えました。
 そうでもしないと、この異常は耐えきれなかったから。

 前世の記憶や経験が、今の身体に反映されてしまう影響か、男性なのにどこか女性を感じさせると言われてしまい、それを矯正させるための指導を結構やらされた。
 結局、うまくいかなかったので、その気配や雰囲気を誤認させる魔法を常時使用している。
 それだけを使用するのは、能力の無駄遣いだと思ったので誤認魔法以外にも各種防護魔法や対抗魔法も発動させている。
 前世も魔力は多い方だったが、今の魔力は前世の10数倍。文字通り桁違い。

 それは、前世男爵令嬢。今世、男爵令息の元ヒロインも同じで、魔力は10倍以上らしい。

* 
 会う人会う人の性別が逆転している状況は、その後も続いてしまい、断罪の際の取り巻き令息は、そのまま取り巻き令嬢になっていた。
 中心人物は、前世の王子である。

 今世も前世と同じように、王子は3人兄妹の長子だったのが、3人姉弟の長女になっている。

 本当に、ややこしくて面倒くさい。
 夢じゃないのか、これは。
 しかし、この状況で18歳まで来てしまった。

 この国では、18歳が成人年齢になっている。
 前世王子、今世王女と婚約している身としては、卒業記念パーティーがどうなるのか興味があるところ。
 断罪劇…あるのか?

 前世があるから分かるのだけど、女の闘い?は、表に出ることはなくて裏で暗躍する。
 嫌がらせも本人ではなく、取り巻きがメインになるし場合によっては、闇の者を金で依頼したりする。
 つまり、断罪されるまで男ども…。
 しまった、今は私、男だった。

 ごふんごふん
 男どもは知らないというとになる。
 普通は。

 そう考えると、前世で王子が私を断罪できたのは、事前の打ち合わせがあってこそという事が分かる。
 一応、前世男爵令嬢にも確認したけれど、やっぱり事前打ち合わせをしていた。
 話に辻褄が合うように、想定問答集まで作っていた。
 クレーム処理か。

 そうそう、仲直りした理由はもう1つあって、前世の前…すなわち前々世で同じ乙女ゲームをしていた転生者だったということも分かったから。
 しかも、双子だった。
 私が姉。あっちが妹。
 どおりで、趣味嗜好その他いろいろが似ていると思ったら。
 仲は、べったりだった。
 どこで、間違いが起こったのか。

 そして、私たちが前々世もあるとすると、他の人もその可能性がある訳で…キリがない。

*
 結論から言えば、断罪劇ありました。
 内容は、完全に性別が逆なのにそのまま男爵令嬢(昔は令息?親友とは違う男爵家)が王女を糾弾するというもの。
 そして、私の方に『真実の愛』を求めて来ました。

 前世などの記憶がある私にとって、『真実の愛』とはどういうものか知っています。
 ばっさり、どんなことがあっても王女との婚約は変わらないと言い、拒絶してやりましたが、話が違うという雰囲気がばりばり来たので、以前とは違うと言ったら顔色が変わったので、向こうも前世の記憶があるのだろうなぁ~と遠い目をしてしまった。

 え?
 昔の男で今は女の王女と婚約を維持するのはなぜかって?
 そこは、政略結婚ですから私に拒否権はありません。

 それに、やったらやり返す、倍返しなんて生やさしいことはしません。
 10倍返しをしてあげます。

 何をするのか…想像にお任せします。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...