真っ赤

夜空のかけら

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夏の風物詩?

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夏は微妙。

「久しぶりだな~。元気だったか?」

そう声をかけてきたのは、腐れ縁とも言える“今はまだ”親友の梓だ。
口調は…まぁ、いいか。

「久しぶりって、昨日も同じこと言っていたよね」
「そうだったか?」

相変わらずの妙なやつ。

「それにしても、暑いよな。こう、ぱーっと冷えたビールを浴びたくならねぇか?」
「そんなの君だけだよ。相変わらずおかしいよ」

ちょっと、変わっているんだ。
でも、そこがいい…と思う。たぶん。

「いいじゃねぇか。2人だけなら、問題なしっ!」
「はぁ…、僕はいいかもしれないけれど、君は問題あるでしょ」
「大丈夫!」
「はぁ…」
「あ、でも透は、ダメだったか」
「ごめんね。この季節は、ちょっと」

僕の持病というか、体質はヒフが弱い。
特に、汗が出る時期は注意が必要。

すぐに真っ赤になる。
それは、あせもであったり日焼けであったり。
素肌を出しているとあっという間に真っ赤。
出していなくても、金属と接しているところも赤くなる。

きちんとお薬を塗ったりして、きちんと治さないと痕が残るし、長く苦しむ。
概ね、かゆいのだけど。

おまけに…

「ステンレスもダメ化?」
「たぶん」

金属アレルギーも体質のひとつ。
接触しているところだけじゃなくて、食事に多くのミネラルが含まれていると、身体に湿疹が大量発生。

「難儀な奴だよな。毎回」
「そうだね」

この体質。
家系とも言える。

なぜか、母系に出てくる体質。
姉や妹は、分かる。

しかし、僕はイレギュラーらしい。
その分、ヒフが弱いのが一通り揃ってしまったらしい。

「夏だけを乗り切れば、あとは問題なしっ!」
「うん」

そう、夏以外はヒフ弱いはずなのに、何も問題はないんだ。
だから、毎年夏は憂鬱なんだけど。

「久しぶりに、会ったんだ。何か作ってやるよ」
「…なんでもいいよ」
「うしっ!」

梓は、なんだかんだ言っても面倒見がいい。
いや、僕だけかな。

でも、何かこじつけないと会うのが恥ずかしいらしい。

“夏だから、顔が赤くても分からないから”

そんなことを、酔っ払った時に言っていた。


だから、夏は微妙。
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