魔法のチョーク…えー

夜空のかけら

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魔法のチョーク…ええ?

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 魔法学校は、冒険者のたまご達に冒険に必要な知識を習得するために設立された。
 学校で使うものは多種多様だが、そのいくつかは魔導具と言われるものだ。
 これを見つけた者は、所有権が生じるから学校内をくまなく歩き回ることになる。

 僕は、授業終了後に黒板に書かれたものを、黒板消しで綺麗に消して、明日の日直などをチョークで書いていた。
 ふと、『このチョーク怪しくないか?』と思ってしまった。
 
 一般的に、チョークは黒板に書くものと、地面や機械などに書けるものの2種類が存在する。
 どちらもチョークなのだが、用途が違うので硬さに違いがある。

 そして、今。
 このチョーク固くないか?と思ったのだ。
 
 試しに、木製床に簡単な図形を書いてみた。 
 白いチョークだったので、きちんと書けるかどうか分からなかったが、自分の方を底辺とした△を書いて頂点に波線と書いて、魔力を注いでみた。
 すると、赤で書いた時と同じように、その図形から火が出た。
 慌てて、目の前の図形を消したら、火は収まったが、普通は火を起こす場合は赤いチョークなどを使う。
 
 このチョーク、魔導具と判断したが、使い勝手が悪いと感じたので、次の実験をしてみることにした。
 
 教室の扉を少し開けて、上部に黒板消しをはさみ、授業に来る先生に落とすというイタズラをすることがある。
 無論、後で怒られるのだが、それをこれで再現できないかと思った。

 黒板消しを挟むのではなくて、扉のあたりを少し窪ませて、転倒するようにと思ったのだ。
 まず、チョークで二重丸を書く。
 次に、×印。最後に→を二重丸の4つに区切ったところから×印に接しないように矢印を書いた。
 
 試しに自分でそこを通ってみたが、何も起きなかった。
 失敗か…と思って、“その場をそのままにして”チョークを持ったまま寄宿舎へ。

 自室に戻って、試しに魔石が得られるか試してみることにした。
 ただし、どういう風に魔石が得られるか分からないので、そのまま文章にして書いてみた。

 “水魔石が欲しい”と書いてみた。

 
 水魔石は、そのまま水属性を持つ魔石のことだ。
 水を得ることができるだけではなく、水属性の攻撃時に攻撃力の底上げと魔力の効率的使用の補助などに使える。
ただし、結構なお値段なので、冒険者のたまご達は、魔石を持っている人の方が少ない。
 無理な扱いをしなければ、結構長く使えるので、その魔石を持つということは、それなりの収入を冒険などで持っているということになる。
 
 でだ。
 書いた場所に本当に水魔石が現れた。
 だから調子に乗って、様々な属性を持つ魔石を書きまくって、かなりの魔石を手に入れてしまった。

 魔石は、所持する場合と自らの身体に溶け込ませることもできる。
 ほとんどの場合は、自分の身体に溶け込ませる。
 ただし、競合する場合がある。
 火に水の属性を加えると火が使えないように。
 属性自体は残っているのだが。

 それすらも、チョークで自らの身体に書いて、全ての属性を使えるようにしたのだが…

 翌朝
 
 起床時に気がついた。
 チョークを多用したことで、チョークの長さが短くなっていたことで脆くなっていたのか、割れていた。
 つまり、これ以上チョークで何かを入手できなくなるということだった。

 知っているあらゆる属性を使用できるようになった僕だったが、すぐに問題が発生した。
 食事のために、食堂へ行った。
 飲み水をピッチャーから注ごうとしたら、勝手に水が大量に出た。
 食堂は、あっという間に水浸し。
 食事どころではない。

 原因は、不明とされていたので、ばれなかったということで、安心していたのだが…
 魔法実技で、的に属性自由に当てることになった。
 元々の属性は、火だったので、火球を出して当てようとしたら、爆球が出て的だけでなく、その後ろにあった強化壁まで吹き飛ばし、学校の外壁面にある防御魔法も消し飛ばし、壁面も消滅させ、学校の最終防御魔法壁にヒビを入れた。
 無論、これは魔法の暴発だったとされたが、昨日までの状況からおかしいとされて、有無を言わさずに指導部屋へ。

 しらばっくれようと思ったが、先生の執拗な追求に屈してしまった。

 結局、魔法の操作が出来ないということが分かった。
 魔石がある以上、操作ができないことは日常生活でもなんらかの問題が発生することになる。

 魔法を使用できないように、厳重に封印を施された上に、学校に損害を与えたという理由で、退学処分になった僕には、冒険者の道は閉ざされてしまった。

 何事も、調子に乗ってはいけないというお話…。
 悲劇?
 
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