4 / 28
傭兵たちのいない森の中
王都へ向けて―初戦闘
しおりを挟む
私はダグラスさんに御者をしてもらいながら、辺りを警戒していました。草叢の獣道や足跡の図や、実際に動物のフンなどをカゲロウに見せてもらいながら勉強しました。ゲームとはいえ臭いなども現実のようなたまらないものでしたよ。なんてものを女の子に教えるんだ! なんてイオリが叱責していましたが、あれは楽しんでいる表情でした。ギルティですね。
どうやら、モンスターもいるようです。近くに拠点があるのでしょう。人のような足跡ですが、違います。勘というヤツです。たぶんゴブリンでしょう。ゴブリンとは違い、亜人のニコブリという人種もいますが、これはゴブリンです。発情期ですね、涎のようなネバネバが辺りに散らばっています。人間の女の人を捕まえに探し回った跡があります。ゴブリンは雌が妊娠しにくいので、人間を苗床にする習性がありますからね。駆除しないと大変です。
「あの、ゴブリンがたくさん近くにいるみたいです。女の人は馬車の中から顔を出さないでください」
私がそう言うと、護衛の旅人―冒険者―がギョッとしています。あれ? 私の間違いですかね? 実践は初めてなので、自信はありませんし。
「どうしてわかるんだい?」
あ、ポーションをあげた女性ですね。護衛についていてくれたんですね。えーと、さっき思った事を指を指しながら説明してみました。
「へぇー、あんたすごいんだね。万能じゃないかい」
他の護衛の旅人の方もしきりに首肯くばかりで反論はありませんでした。先生が良かったから、このくらいはわかりますよ。カゲロウは一流の盗賊ですからね。
「しかし、何匹いるかだ。厄介だね」
「たぶん、雄だけなら20匹くらいですよ。足跡の大きさや形の違いでわかります。勘ですけど」
「20匹もいるのかい! 厄介だね。警戒を続けて頼むよ」
「はい。任せてください」
そうたたないうちに、ゴブリンの耳障りな哭き声が届いてきました。どうやら、こちらに気づいた様子です。ギギッと哭いています。女の人たちは、ダグラスさんの馬車の中で震え上がっています。お互いに抱き合いながら、大丈夫、大丈夫と繰り返しています。
私は使える武器をダグラスさんの許可をもらい、使うことにしました。先ずは弓術で数を減らさなくては。私は姿勢を正して弓を引き絞ります。フッと息を吐く瞬間に放ちました。1匹が頭を撃たれて死んだようです。息を止めたら震えてしまうし、息を吸い込む瞬間だと胸の動きでブレるらしいです。カオルはそう言っていましたけど、実際どうなのでしょうか?
「よしっ!」
私は調子づいて、5匹までを矢で射ぬきました。
直ぐ様、私は軽い片手剣を手にゴブリンの群がる場所に一直線です。ゆたんっと腕の力を使わずに足の踏ん張りと上半身にかけての連動に任せて斬る瞬間に曳くように斬りました。
「疾っ!」
そのまま、近くにいたゴブリンも斬るためにステップで右に移動しながら下からの切り上げで三角を描くような斬影をひきます。トライスラッシュです。イオリが教えてくれた最初の技です。上手く2匹を巻き込めました!
どうやら、ゴブリンはすべて倒したようです。なかなかにスリリングな体験でした。血しぶきとか、かえり血とかで汚れてしまいました。着替えがありません。どうしましょう?
「すごいな、お嬢ちゃん。まるで本物の傭兵みたいだったよ」
えへへ、イオリを褒めてくれているようで照れます。すごいですよねイオリ流なんて流派が掲示板に上がっていましたから。あの時も誇らしかったです。
「さ、着替えはあるからね。報酬も後から国の金で出るだろうさ。ハンター協会なんてのが出来る噂もあるからな。ハンターとして登録してもいいかもしれないな」
私は戦闘の高揚を抑えながら、フゥと息を吐きました。ダグラスさんの話も頭に入ってきませんが返事はしなくては、チカゲが言っていました。人の心を掴むにはまず言葉を使いなさいと。
「はい。そうですね」
「そろそろ王都につくからな。ほら、見えてきたぞ」
城壁が、見えてきました。きっと……みんないますよね。待っててください。今帰りますから。
どうやら、モンスターもいるようです。近くに拠点があるのでしょう。人のような足跡ですが、違います。勘というヤツです。たぶんゴブリンでしょう。ゴブリンとは違い、亜人のニコブリという人種もいますが、これはゴブリンです。発情期ですね、涎のようなネバネバが辺りに散らばっています。人間の女の人を捕まえに探し回った跡があります。ゴブリンは雌が妊娠しにくいので、人間を苗床にする習性がありますからね。駆除しないと大変です。
「あの、ゴブリンがたくさん近くにいるみたいです。女の人は馬車の中から顔を出さないでください」
私がそう言うと、護衛の旅人―冒険者―がギョッとしています。あれ? 私の間違いですかね? 実践は初めてなので、自信はありませんし。
「どうしてわかるんだい?」
あ、ポーションをあげた女性ですね。護衛についていてくれたんですね。えーと、さっき思った事を指を指しながら説明してみました。
「へぇー、あんたすごいんだね。万能じゃないかい」
他の護衛の旅人の方もしきりに首肯くばかりで反論はありませんでした。先生が良かったから、このくらいはわかりますよ。カゲロウは一流の盗賊ですからね。
「しかし、何匹いるかだ。厄介だね」
「たぶん、雄だけなら20匹くらいですよ。足跡の大きさや形の違いでわかります。勘ですけど」
「20匹もいるのかい! 厄介だね。警戒を続けて頼むよ」
「はい。任せてください」
そうたたないうちに、ゴブリンの耳障りな哭き声が届いてきました。どうやら、こちらに気づいた様子です。ギギッと哭いています。女の人たちは、ダグラスさんの馬車の中で震え上がっています。お互いに抱き合いながら、大丈夫、大丈夫と繰り返しています。
私は使える武器をダグラスさんの許可をもらい、使うことにしました。先ずは弓術で数を減らさなくては。私は姿勢を正して弓を引き絞ります。フッと息を吐く瞬間に放ちました。1匹が頭を撃たれて死んだようです。息を止めたら震えてしまうし、息を吸い込む瞬間だと胸の動きでブレるらしいです。カオルはそう言っていましたけど、実際どうなのでしょうか?
「よしっ!」
私は調子づいて、5匹までを矢で射ぬきました。
直ぐ様、私は軽い片手剣を手にゴブリンの群がる場所に一直線です。ゆたんっと腕の力を使わずに足の踏ん張りと上半身にかけての連動に任せて斬る瞬間に曳くように斬りました。
「疾っ!」
そのまま、近くにいたゴブリンも斬るためにステップで右に移動しながら下からの切り上げで三角を描くような斬影をひきます。トライスラッシュです。イオリが教えてくれた最初の技です。上手く2匹を巻き込めました!
どうやら、ゴブリンはすべて倒したようです。なかなかにスリリングな体験でした。血しぶきとか、かえり血とかで汚れてしまいました。着替えがありません。どうしましょう?
「すごいな、お嬢ちゃん。まるで本物の傭兵みたいだったよ」
えへへ、イオリを褒めてくれているようで照れます。すごいですよねイオリ流なんて流派が掲示板に上がっていましたから。あの時も誇らしかったです。
「さ、着替えはあるからね。報酬も後から国の金で出るだろうさ。ハンター協会なんてのが出来る噂もあるからな。ハンターとして登録してもいいかもしれないな」
私は戦闘の高揚を抑えながら、フゥと息を吐きました。ダグラスさんの話も頭に入ってきませんが返事はしなくては、チカゲが言っていました。人の心を掴むにはまず言葉を使いなさいと。
「はい。そうですね」
「そろそろ王都につくからな。ほら、見えてきたぞ」
城壁が、見えてきました。きっと……みんないますよね。待っててください。今帰りますから。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる