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不穏な足音が聞こえてきます
アドさんと森に行った日の夜、シルクは私を迎えに来てくれ、家に帰った。
シルクが調べてきたことを教えてくれた。
「今のところルマの家族は大丈夫ですよ。それよりもルイルイはルマを探しています。王太子直属の騎士を使って国内を極秘に探しているようでルマへの執着が酷いですね。この分だと国外に逃げたことはいずれバレると思います。国王夫妻は協力も邪魔もしていませんね。王太子がルイルイに全面的に協力しています。もはや言いなりですね。」
やっぱり私を魔女にする気なんだ。そう思うと気が滅入る。
「そして魔封じの腕輪はすでにルイルイが持っているようです。魔封じの腕輪があの王宮にあったことは確認出来ました。しかし既にありませんでした。」
王宮の宝物殿に忍び込んだのか?
魔封じの腕輪も奪われた。私は襲われてしまうのだろうか?襲われた時に私の心はどうなってしまうのだろう。ゲーム補正も働いている。不安で胸が押し潰されそうだ。そう考えていると不意にシルクが両手を包んでくれた。
「ルマ、そんな未来は想像しては駄目ですよ。大丈夫です。必ず守りますよ。」
力強く揺るぎないその瞳は真っ直ぐに私を映している。その手の温かさが何だか心地よくて不安がゆっくり流れていく。
「わたし、シルクに逢えて良かったです。」
心に浮かんだ言葉を伝えると、シルクは少し赤くなりながら、「僕も良かったと思っていますよ。」と言ってくれた。
シルクが傍にいると私は大丈夫だって思える。
翌日からは今まで通りギルドに行き、依頼を受ける一方で、シルクは時々私をアドさんの家へ預けて、ルイルイの周辺を探ってくれていた。
そうして更に1ヶ月過ぎた頃、ギルドにシルク指名の依頼が来た。依頼主はヒル王国王太子。私の元婚約者だ。依頼内容は不明で王宮で面談し直接説明する事になっているそうだ。「本名での指名依頼は断れない。」そう言うとシルクは王宮に赴いた。私はアドさんの家で待っていることになった。
私はいつものようにアドさんと料理をしながらシルクを待つ。
アドさんはシルクの昔話をしてくれた。
シルクは昔から何でも出来て人を小馬鹿にしている、生意気なガキだったそうだ。そういえば、最初に出会ったときの印象はあまりよろしくない。
「だからね、シルクがルマちゃんと暮らし初めてから、変わったのよ。」
「そうなんですか?」
「そうよー、だからシルクが人に頼るなんてびっくりよ。私達に頭を下げてまで一人にしたくないだなんて、よっぽど大切なのよ。」
アドさんは微笑んで良かったね、と言ってくれた。
シルクの事を考えると胸が温かさに包まれた。
けれど、その夜シルクは戻って来なかった。
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