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私はティシアリュル・フェヘルグ侯爵令嬢。
ここはガーネット王国で私はこの国の王太子である、バルデンミドレア・ガーネット・プライズの婚約者である。
よくある話だけど、私は10歳の時に高熱を出し、5日間寝込んだ。その時に夢の中で前世の私を見て分かってしまった。私は小説の中のライバル令嬢で初恋の人と決して結ばれないことを。
その時のショックと言ったら、筆舌に尽くしがたい。
この世界は前世での入院中に読んだファンタジー小説「オパールの涙」の世界にそっくりなのだ。
「オパールの涙」は主人公の貴族令嬢が家庭の事情で男装して騎士になる所から物語は始まる。ひょんなことから王太子の専属として期間限定で護衛を務める事になり、交流を深めるうちに二人はお互いに好意を抱くようになる。
王太子はやがて彼女が女性であることを知り王太子の強引な求愛により二人は恋仲になっていく。王太子は政略結婚の相手である侯爵令嬢との婚約を破棄して主人公と結婚するというストーリーだ。
私は悲しくて悲しくて三日三晩泣き暮れた。そして食欲も無くなり、すっかり痩せ細ってしまった。
だって私は既に王太子殿下の婚約者で、王太子殿下が初恋だったから。
近くにいると好きになるのを押さえられない。このままではきっと小説のように王太子に付きまとって、主人公との逢瀬を目撃して嫉妬に狂ってしまう。
失恋は辛い。自分が必要ではないと否定されるかのような絶望感を味わうから。
前世の私はデブスで男性と付き合うなんて出来ないと諦め資格取得に夢中になっていた。
それでも、私の事を好きになってくれた男性が現れ私は有頂天になり全力で愛情を注いだ。
結果、重いと言われて振られてしまう。同じ職場だったので仕事を辞めて実家に戻ると病気になってしまい、長い闘病生活を強いられた。
「オパールの涙」はそんな私が想像の世界だけでも幸せな恋愛がしたいと選んだ王道恋愛ファンタジーだ。
私はどうやら病気で亡くなったのだろう。病状が悪化してからの記憶は曖昧だ。
前世の教訓を生かし、今世では愛情重めの私は恋愛を控えようと思う。
前世でも好きだった勉強を頑張って静かに暮らしたい。
貴族令嬢が働けそうな仕事は女官か家庭教師。女官は王太子との接点があるかもしれないし避けたい。
ならば家庭教師で一生独身を貫こう。
幸い王妃教育で勉強の機会は沢山ある。そう密かに決心して過ごすこと6年。
私は勉強に夢中になり過ぎて理想的な貴族令嬢となった。
氷の美姫との異名は嫌だけれども…。
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「オパールの涙」は主人公の貴族令嬢が家庭の事情で男装して騎士になる所から物語は始まる。ひょんなことから王太子の専属として期間限定で護衛を務める事になり、交流を深めるうちに二人はお互いに好意を抱くようになる。
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前世の私はデブスで男性と付き合うなんて出来ないと諦め資格取得に夢中になっていた。
それでも、私の事を好きになってくれた男性が現れ私は有頂天になり全力で愛情を注いだ。
結果、重いと言われて振られてしまう。同じ職場だったので仕事を辞めて実家に戻ると病気になってしまい、長い闘病生活を強いられた。
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