【君からの通知】

一ノ瀬 瞬

文字の大きさ
上 下
1 / 1

【君からの通知】

しおりを挟む
スマホの明かりが通知音と一緒に光り
君からの連絡に気づく
いつも手に持つスマホ

君とお揃いにした
ぬいぐるみを抱き寄せ画面を開く

メッセージから解るのは
君からのSOS
君は泣かないから解りにくいけれど
きっと今は【助けてほしいんだ】
だから連絡してくれたんだね

君と他愛のない話をして
君の心の涙交じりの本音と弱音を
ただ『そっか』『うん。』
君の紡ぐ言葉を聞いていく

君は危なっかしいから
君は大事な人だから

君の側にいられない僕の代わりに
君の側にいることが出来る存在を
ねぇ…助けられてる?

僕は君に必要なのかな
僕は君の話を聞くしかできない
僕の掛ける言葉は間違いだらけだ

君を守ってくれる人に存在に敵いやしない
君の側にいる存在に今日も劣り続ける
『……今日はしょっぱいな。』

口に入れたキャラメル
しょっぱいキャラメル
口をつけずに冷めた紅茶を飲み干して

1人部屋に蹲る
頼ってくれる存在でいれる事が嬉しい
側にいて目の前で助けてあげられない
自分が恨めしい

君の心からの1番には
永遠になれないのだと本当に想うんだ

『息苦しいなぁ……。』

1人スマホの画面を開いて
涙が画面にポタポタ落ちる
誰も気づかない、君も気づかない

それがいい。
一瞬でも君が僕を求めるなら
それだけでいい。

『今日も眠れないな。』
話を聞いた人形は
今日も役目を終えて
明日の君へ笑いかけるために

笑顔の練習をして、目を瞑り
朝が来ることを願うんだ。

『おはよう』
また今日も笑顔で。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...