痣という名の愛を君に

一ノ瀬 瞬

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痣という名の愛を君に

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【疵という名の愛を君に】

深夜…赤く光る月に照らされる
月が見えるのはあの子の病室から
紅い紅い月の歪さ…あぁ、綺麗な緋だなぁ

【俺視点】
疵を増やすうち、痛みを与えていくうちに
俺の心もオカシクなっていくのを感じてる
「なぁ?この痛みで疵でお前はどれくらい
俺が愛してるってわかる?」
「好きだよ」「愛してる」
俺が唯一姉に教えてもらった「愛し方」
当の本人は逃げてしまったけれど
俺がどれだけお前を愛してやまないか
お前に知って欲しくて
『沢山愛してやった』のに…お前は薄情だな
俺以外の奴と…愛なんて…俺が与える愛以外
お前には必要ないのに…。

「あーあぁ…間に合わなかったかぁ~」
目の前には2人深紅の色した
そう…あの月と同じ
その水溜りで寄り添いあっている
俺を裏切って“コイツ”と…か…あはは!
笑えるじゃん…
お前は俺から折角愛してもらったのに
最後まで裏切りやがって…俺を“また”
あの人と同じだ。あの人が俺に『愛』を
教えてくれたから『愛した』のに
俺から離れていく…俺だけを置いて
俺を歪んでいると歪だと言って

愛し合っていた筈なのに…
どこで間違ったんだろ?お前も泣きながら
笑ってくれてた筈なのになぁ…

気づけば俺の頬から熱い雫が零れ落ちる
「なぁ…傷みを疵を痣を痕を…其れが有れば
お前は喜んでくれてる筈だったのに…」

なぁ…なんで?
なんで、俺をまた独りにしたんだよ…
紅い、紅い水溜りの中
動かなくなったお前を抱きしめる。
此腕で…きつく、つよく。
可愛らしい頬を撫で血で赤に染まったお前の
服からはだけ見える俺がつけた
『愛の証』を見つけて俺は微笑み
お前に口付ける…
血の味だろうか混ざり合って
まるで昔みたいだなぁ?嬉しいよ最後が俺で

お前がいない世界なんてさ…
もう俺にはいらないよ…
次にそっちに言った時は絶対に離さない…
もう逃さない…
「あはははっ…また愛し合おうな?」
そう言って、近くにあったメスを取る
簡単な事だろ?
ただ引いてしまえばいいんだからさ…。
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