【死神とワルツを】

一ノ瀬 瞬

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【CASE:Ⅰ 緋色に染まる死神】

【死神とワルツを】

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【死神とワルツを】

時は現代…【死神】
それは空想でも偶像でもなく
貴方達のごく身近に居るのです

死神の仕事は魂を回収する事
『迷える魂に救済を』

そんな死神達は、とある人物に出逢い
そして恋に堕ちてしまう
全く出来すぎたストーリー

【その人】こそが……
死神である【貴方】の
次の魂回収のターゲットだったから

苦悩した先に貴方が選ぶ結末は?
死神となった貴方の最後に
その選択に…どうか幸あらん事を願って。

【CASE:Ⅰ 緋色に染まる死神】

【特記事項】
1人称:私
貴方との関係性:在学する学園の保険医
貴方への好意:貴方が保健委員に成り
出逢った2年前から貴方に恋慕を抱く

【補足】
保険医で有るのは効率化優先した結果であり
その地区、学園に通う人間が
数年に一度の単位で
魂回収リストに記載される為である。

{最後の結末は貴方の選択次第で決まります}
どうか最後の貴方を
貴方自身の手で目で、その全てで
お選び下さい



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【シーンI】
[AM:7時05分 保健室にて]


『はぁ…』
自然と溜息が漏れ
手に持つ端末の画面に目を向ける

私は今まで何人も…そう…何人も
[人の魂]を、すべからく回収してきた
そこに悔恨も後ろ髪を引かれる事もない

それが私の仕事であり
それこそが私の定めというものなのだから
だが……今回ばかりは私には……。

『はは…まったく…本当…あの子なんて
神も仏もないとは、この事でしょうね』

端末に移るのは次の週に回収する予定
その魂回収ターゲットのデータ
回収データに表示される名前

回収ターゲットは【私の生徒】
正確には、この保健室に
毎日保健委員として来てくれる気立のいい
優しく可憐な子

2年前から、ずっと一緒だった
初めてだったんだ【死神である私】が
人間相手…あの子に恋という感情を持つのは

そんな相手だと知ってのこと
上層部から連絡が来た、その内容
《1番近くにいる【お前】が回収しろ》
冷たい機械的、無慈悲な命令。

『…ほんと…最低な日……ですね』

重たい溜息
気だるい思考
ふと秒針の指す時計へと目をやる

『ああ、もうすぐあの子が来てしまう
駄目ですね…切り替えなければ
私は保険医でしょう
今余計に考えるべきではない…。
さ、いつも通り
あの子が好きな紅茶でも用意しましょうか
それとも今日はココアがいいかな?
…んー…迷いどころですねぇ…』

切り替えることなど簡単には出来ない
けれど私は命令の話を自身の心にしまい
【あの子が知っている】
【いつもの私】に成り代わる

せめてこれで…整理がつけば良いのに。
そう考えながらカチャカチャと
カップと茶葉を用意する。

【選択肢:何時も通り予定時刻に来る】

『あぁ…いつも通り…おはよう御座いま…』
保健室にきた、その顔は青ざめ
小刻みに体が震えている
《一体…何があったんだ》

すぐさま側へと駆け寄り
震える小さな肩をさすり抱き寄せる
『どうしたんですか?いったい何が……』

私の問いに何も返すことなく
ただ一言だけ《大丈夫ですから》と
震えながら作る笑顔が私の胸を締め付ける

何があったかなんて長い付き合い予想がつく

よく纏わりついていた
あの後輩の音楽科の生徒と
幼馴染の普通科の生徒が原因だろう

何とかして震えを止めたかった私は
頭を撫でようと伸ばした手を
グッと押し込める……。

《何をしようとしているんだ》
私は今日…この子の命を
魂を回収する役目だというのに
何をしようとしているんだ私は……。


[手に口づけを]
…ちゅ…。

自分ですらわからない
けれどせめて…
今日この子と永遠に剥がれてしまう定めなら

これくらいは……してもいいだろう…?
『あはは…可愛らしいですね。
そんなに赤くならなくてもよろしいのに…
まさか…ドキドキしてくれたりしましたか?

……ふふ、はい、悪戯が過ぎましたね
警戒なさらないでください大丈夫ですよ
ちょっとした【御呪い】ですから』

……嘘吐き。
何も出来ない自分自身に嫌気がさす。

嗚呼…
この子の魂を…もしも私が…回収することが

それだけが
せめてもの【救い】に成るのなら
成るとしたら…私はどうしたらいいのだろう
残ってしまう私は、君がいない世界に
ただ一人残る私は……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【シーンI】
[AM:7時05分 保健室にて]

【選択肢:何時も通りの予定時刻に来ない】
チクタク…チクタク
秒針の音だけが保健室に鳴り響く

《あの子が来ない…?一体どうしたんだ》
ただ、ただ
不安と言い知れない恐怖が私を襲う

あの子に何かあったら…あの子が、もし…。
そんな事ばかりが脳裏に浮かんで止まない

愚かだ、矛盾だ、これから奪う魂の主を
わかってる、わかっているんだそんな事
わかっていても……それでも…。


[抱きしめる]

心音がドクドクと自分の耳にも聞こえるほど
それほどまでに脈打つ
そんな私の目の前、保健室の扉がガラッと
大きな音を立て開く

私はたまらず、扉の先の待ち人を抱きしめる
強く…強く…存在を確かめるように

『無事で……無事でよかった…。良かった』

それは心から溢れ出した私の言葉
私は……この子を…腕の中の確かな温もりを
【失う事】を…こんなにも恐れているのか?

自分自身すら解らなくなる【この感情】に
戸惑いすら覚える
《私は…どうしたらいいんだ…》
その疑問がまるで黒い水のように
私の心の中を満たし埋めていく

《あぁ。息苦しい……、》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【シーンⅡ】
[AM:8時45分 保健室にて]

だいぶ時間が経ったな………。
もう1時限目が始まる時間…か

『少し体調が良くないようですし
ここで、1時限目はお休みしませんか?
私から[あの人]…あぁ、担任の先生には
しっかり伝えておきますから…ね?』

おずおずと、貴方が《お言葉に甘えます》
そう言って、ベッドに横たわり
スゥッと眠りに堕ちた。

あぁ…相当疲れていたんだろう
【今は】ただ、ゆっくりしていてほしい
私は静かに眠る貴方の横に腰掛ける

頭を撫で、サラサラと綺麗な髪に口付ける
『私には貴方を……、は…は。そんな事』
【出来やしないのに】

でも、この学園にも
他の死神が配属されているはずだ
確かに気配だけは学園内に感じている
もし…この子の魂が……私以外に渡るなら……

『ねぇ…愛しい人。私は…、私は
どうしたらいいのでしょうね……?』

貴方が私以外の誰かに奪われるくらいなら
いっそ……私が?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【シーンⅢ】
[but end  happy end 分岐点]

『おや…起きましたか?
大丈夫ですよ焦らなくても。
すやすやと寝息を立てて可愛らしかったので
起こすのがもったいなくなりまして……ふふ

だから2限目の先生には連絡済みですから
この後の3限目から受けに行けば良いですよ
大丈夫…大丈夫ですからね』

嗚呼、焦った顔も可愛らしい。
だが、それと同時に私の中に不安と不穏が
ぐるぐると渦を巻く

もし…もし、私が貴方を助けられるならば
魂を回収せずに済む方法があるなら……。

それなら……。

1つだけ提案をすることにしよう
これは、ある種の賭けだ

『……いきなり…ではありますが
今日の放課後…保健室にまた来て頂けますか
少しだけ、大事なお話をしたくて』

貴方は不思議そうな顔をしたけれど
でも私の提案に頷いてくれた

もし、本当に来てくれるなら……絶対に。
私は今日、禁忌を犯すのだろう
でも、それでも構わない、そう思えるくらい

私は貴方の事を……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[bat end:保健室に来ない]

時計の秒針は五月蝿く、ただ五月蝿く
カチカチ、チクタク、チクタク

『なぜ…?なぜ来てくださらないのですか』

約束した放課後は、とうに終わり
下校のアナウンスが鳴り響く時間
時刻は紅月の光が暗闇に包まれた保健室を
歪に照らす時間

あぁ、あぁそうか…貴方は来ないんじゃない
【来れなかった】んですよね?
大丈夫です…大丈夫ですから……今
『今…先生が迎えに行ってあげますからね』

あぁやっぱり。
あの普通科の…。アレは【同じ】だ

紅い花が舞う
白い私の白衣を
貴方以外の花で汚してしまった

《嗚呼…。穢らわしい。》
【貴方以外】で身を染めるなんて

『はい…みぃつけたぁ。
嗚呼…駄目ですよ?
そんな大きな声を出しちゃ……ね?
はぁい…静かにしましょうねぇ…?』

嗚呼良かった
他の奴(死神)に手をつけられていないようだ
純粋で美しい…貴方の魂のまま

……あの普通科の生徒は
狙いにきただけ…か。

嗚呼良かった
【最期】が私で本当に
『良かったです』

そう告げて私は、貴方の知る
【保健の教諭】から【死神である本来の姿】
黒く染まりきった姿に其の身を変える

『嗚呼…驚かせてしまいましたか?
大丈夫ですよ?多分痛みも苦痛すらなく……
嗚呼…いや…そうだな。

それじゃあ貴方を感じられませんよね?
やめにします。
私は今から貴方を切り刻みますが、できれば
抵抗は…しないことをお勧めしますね?
抵抗したら痛みが増して、私が喜んでしまう
長引くのも…嫌…でしょう?』

嗚呼、あはは!なんて可愛らしいんだろう
怯えて震えて這いずって懇願して泣き喚いて

まるで羊狩りのようだな
『愛してるんです…愛しているから貴方を
私が、この手で、逝かせて差し上げますから

愛していますよ…愛して愛して愛して愛して
狂おしいほどに貴方…貴方だけを愛しています』

そう言って私は小型の鎖鎌を振り下ろす
当然肉を切り裂き抉る程度
私の鎌は切れ味が素晴らしいと
自負していますが…そんな事より
貴方の其の顔と悲鳴の方が
何よりも素晴らしい

最初からこうすれば良かった
嗚呼、私は間違いを犯した

『今日はとても素晴らしい日ですね』
貴方を切り裂き真紅の華が飛び散る
嗚呼美しい…狂おしい…愛おしい

さぁ…踊りましょう
貴方が逃げ惑う、貴方が助けを求める
求めても誰も来させはしないのに

ふふ…ははっ…さぁ共に死のワルツを
ダンスマカーブルを踊りましょう

周りは真紅の血溜まり
花びらがまた舞う…大丈夫…大丈夫ですから
すぐに私も貴方の側に。

そう…最初からこうすれば良かったんだ
なぜ…いや…もう、そんなものどうでもいい

私は貴方を抱きしめ
唇を貴方の赤に染める

『愛していますよ…愛しい人』
笑顔を浮かべて自らの鎌を首に……。

【but end 緋色に染まる死神】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[happy end 保健室に来る選択]

チクタク、チクタクと
時計の秒針が何周かした後
貴方は、保健室のドアをノックした
私はすぐに駆け寄り
貴方を抱きしめる、強く…強く。

貴方は驚いた様子で
どうしたのか?と私に尋ねるが
私はお構い無しに
貴方を抱きしめる
貴方の温もりを感じる事が出来るから
貴方の鼓動を感じる事が出来るから

私は決めていた、貴方がこの保健室に
もし、もしも来たのなら私の全てを話そうと

私の持てる限りの全てを捧げようと
何があっても必ず守り遂げるのだと

しばらくした後
貴方に【全て】を話した
貴方は最初こそ驚きと混乱を隠せずいたが
私の話を落ち着いて聞いてくれるように

身を委ねてくれた

『だから…【死神】である私は
今回貴方の魂回収を命じられました…。
ですが、私は其の命令を遂行する気はない』

『覚えていますか…?2年前の今日
貴方と私は、この場所で出逢った

最初は頑張り屋で誰よりも優しくて
真面目な子だと思っていました
でも段々と、貴方と話していくうちに
貴方と過ごす日々を重ねていくうちに

安心や幸せな気持ちになって、いつしか……
えぇ…今ならわかります。
貴方を守りたい…貴方を愛しているのだと
そう……思うようになりました』

『私はこれから、本部からも追われる身に
そしてここから先は貴方も私と共に
追われ魂を狙われる事でしょう

ですが、私が、貴方をこの身を賭しても
必ず守り抜くと誓います……。
誓う神は…生憎不在ですが、それでも貴方を
貴方だけを守り抜くと誓います。

……だから、私の側に…居て下さいますか?』

急な話で驚くのも当然の話だ
今まで普通の生活をしてきた
そんな日常を過ごしてきた貴方には
突拍子もない話だ

けれど貴方は出逢った日のように
また、私に朗らかで
優しく温かな微笑みを向けてくれる

それが答えだ。と言うように。

『ありがとう…、ありがとうございます…。
愛していますよ…愛しています
永遠に貴方を…貴方だけを。』

少し気恥ずかしいけれど
誓いの意味を込めて

『これを持っていて下さい。
造花ではありますが
枯れない方が私達にはいい。』

『知っていますか?2本の薔薇の意味を』
貴方は首を傾げて訊ねてくる

『ふふ……。
意味は【2人だけの世界】という
意味だそうですよ?』

貴方は照れて、ほのかに赤く染まった頬で
けれど私をしっかりと見つめて笑った後
私に[嬉しい…幸せ]だと
優しく口付けてくれた。

嗚呼…本当に。貴方を失わないで良かった。
これからは私が貴方を絶対に
守り抜くと誓うから……。

【happy end 2輪の緋薔薇】





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