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しおりを挟むハルに目を向けると「気楽に接してくれて構いませんよ」と笑みを返された。
シュンスケは「ほらね」とでも言わんばかりのドヤ顔をしている。
この鬱陶しいやり取りをさっさと終わらせるべく、「じゃあどっちにもタメ口きかせてもらう」と言って話を打ち切った。
「オレは開店から閉店まで――朝八時から夜八時までここにいるから遊びに来てね。たまにお菓子割引チケットが当たるクジ企画もあるよ。大当たりだと八割引、ハズレでも十円引き!」
「……へぇ、割引チケットがもらえるなら来てもいいかな。クジはいつやってるの?」
「んー、いつになるかなぁ。オレの気分次第って感じだからなぁ……」
もしかして、本当はクジ企画など存在しないのだろうか。訝しく思いながらハルに目を向けると、彼は白々しい咳払いをした。
「シュンスケさん。勝手にクジやクイズを企画して値引きするのは困りますよ」
「差額はオレのポケットマネーで補ってるから大丈夫だって」
「それでも先月は一八〇円のマイナスでした。大雑把な暗算をして、補うべき金額を間違えたのではありませんか?」
痛いところを突かれたぜ、と大袈裟な身振りでおどけるシュンスケ。
雇う側は苛立つことだろう。
それでも笑みを絶やさず「電卓を使ってください」と返すハルに少しだけ同情した。
「やっぱオレ的には、ちょっとした遊び心があった方がいいと思うんだよね。ここは住人専用のコンビニだから、とっつきやすさも必要じゃん?」
「シュンスケさんの明るさにはいつも助けられていますよ。ただ、レジのお金は一円のズレも生じないよう徹底してくださいね。あくまで正確さ重視、お楽しみ企画はほどほどでお願いします」
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