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しおりを挟む本当なら誰にも話したくないが、シュンスケが明かしてくれた以上、自分だけ隠すのは不公平だろうか。
しかし……ハルのように知られてしまったならともかく、自分から打ち明けるとなると幼い頃のトラウマが邪魔をする。
悩んでいるうちに、シュンスケの方から「迷うなら言わない方がいいよ」と引いてくれた。
「オレはリツコちゃんの異彩を聞き出すために、自分のを明かしたわけじゃないから。そこは誤解しないでね?」
「分かってる。……あたしのことはまた話すよ。もう少し時間が経ってからね」
「了解。気長に待ってるよ」
「もしかして、入居者全員の異彩を知ってる?」
「八、九割くらいかな。全員に異彩を訊いて回ったからね」
「……ホントに遠慮ってものを知らないんだね」
さっき申し訳ない気持ちになったことを忘れそうになったが、シュンスケいわく「異彩に関する質問は、先に自分が打ち明けてからと決めている」とのことだ。彼なりに配慮しているらしい。
「オレは下のコンビニで働いてることもあって仲良しの住人が多いけど、挨拶しかしない人とか、数回しか会ったことのない人もいるよ。店番は暇な時間も多いけど時給良いし、みんなと話をする時間は最高に楽しいって感じかな」
「ふーん……。異彩者が集まってるって、やっぱり居心地がいい?」
「個人的にはね。異彩のせいでかなり凹んだ時期もあったけど、ここに来てからは人生をエンジョイしてるよ。ユイカちゃんみたいに可愛い子もいるし」
ユイカ――ハルの妹。
シュンスケの言う〝可愛い〟をアテにしていいのかどうか疑問はあるが、ハルに似ているなら綺麗な顔立ちだろうと予想できる。
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