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しおりを挟む入れ替わるようにしてノブユキが入店した。
彼はアンズが去っていくのを見ていたようだ。ニタリと不気味な笑みを浮かべた。
「あの子、アンズちゃんだよな。また随分と綺麗になったねぇ。良い女だ」
「……アンズさんのこと、いやらしい目で見ないでくださいよ?」
「邪な考えはないよ。恋人にするには若すぎる」
ノブユキがレジに持ってきたものは牛乳パックと菓子パンひとつ。会計を済ませたところで声を掛けられた。
「相変わらずハルと親しくしているみたいだね」
「別に親しいってほどでもないです。好きな食べ物が似ていて話が合うだけ」
「逆にユイカとは仲良くしづらかったかな? お前さんとは全然雰囲気の違う子だからね」
「……ノブおじさん、管理人兄妹の予定を全部把握してるんですよね? あたし、先週ユイカと会いましたけど」
「あぁ……そういや、ユイカがお前さんをお茶に誘ったと言っていたか」
「そういうことです。管理人さんだけ特別扱いして会ってるわけじゃありません」
ノブユキは素っ気なく「そうか」と呟いた。
彼の視線はあたしの左目に向けられている気がする。
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