161 / 220
161
しおりを挟む「管理人兄妹が恋愛関係にあるのを見て、複雑な気持ちになったりしないんですか?」
「愛し合う二人を引き離そうとする方が野暮じゃないかい?」
「でも……両親のことで心に傷を負った二人が、辛い気持ちを慰め合っているだけかもしれないでしょう? 管理人さんにユイカへの気持ちを訊ねたときも即答はしませんでした。ほんの少しだとしても、管理人さんの心には迷いがあるのかもしれない。恋愛感情とは違う感情が働いているかも――」
「今のお前さんは確証バイアスに支配されているね」
「……何ですか、それ」
「心理効果のひとつだよ。お前さんはハルのことが好きなんだろう? だから〝ハルはユイカのことを愛していない〟という結論に繋がる情報ばかり拾って、自分に都合のいい妄想を膨らませてしまうんだ。あの子たちが抱き合うとかキスをするとか、そういった事実情報は無意識に避けている」
ノブユキがあたしを見る目は冷ややかだった。深入りするなという気持ちが伝わってくる。これ以上の詮索は無駄だと諦め、コンビニへ向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる