異分子マンション

カナデ

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「ハルとユイカが二度と絶望に苦しまないよう、絶対的な〝安息の場存在〟を作ってやりたかったんだ。絶対に互いを裏切らない、絶対に他の人間を愛さない、唯一無二のつがいとして死ぬまで結ばれる。そうなるよう思考制御すれば二人は幸せでいられる、これ以上深い傷を負うことなく生きられると考えた」

 そんな想いから開発されたAIチップ。
 ハルとユイカは愛し合うよう仕組まれ、実際そのとおりになったというわけだ。

 あたしはひとまず納得したが、ハルは腑に落ちなかったらしい。「どうして」と呟いた。

「何故、僕のことを気遣っていたかのような発言をするんですか? 叔父さんと血の繋がりがあるユイカと違って、僕は赤の他人……ユイカが僕を慕っているから邪険に扱わなかっただけですよね? AIチップの研究開発だって、ユイカにとって最良となるよう考えたものでしょう?」

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