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しおりを挟むノブユキは腕を組み、深い溜め息をついた。あたしの左隣に立つハルを一瞥したのち、こちらに視線を戻す。
「リツコちゃんの推測も、あながち間違いではないかもしれないね」
「心当たりがあるの?」
「俺がハルに選択権を与えたことだ。以前の自分なら考えられない発言に、俺自身困惑したからね」
あたしが言葉を発する前に、ハルが「どういうことですか?」と眉をひそめた。ノブユキに眼を見せたこと、それを口止めされていたことを打ち明ける。ハルは何を言うでもなくノブユキを見つめた――話を先に進めてくれという意思表示だろう。
「AIチップには複数の情報データが入っている。一種の媚薬のようなものと言えば分かりやすいかな? 特殊な信号を発信し、データを脳内の情報伝達に介入させ、脳が勘違いを起こすようなシステムを組んでいるんだ。そうすることで恋愛感情の画一化を図っている」
「……いまいちピンとこないっていうか、小難しくてよく分かんないですね」
「いい機会だ、簡単に解説してやろう。ハルにも細かな仕組みは教えていなかったからね」
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