異分子マンション

カナデ

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【side.テツジ】1

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 ある日の午後。
 ハルくんから連絡を受け、ぼくはファミリアの事務所へ出向いた――。


 * * *


「ぼ、ぼくが、コンビニ店員を?」

 何かの間違いではないかと思いながら繰り返すと、ハルくんは柔和な笑みを浮かべて頷いた。

「テツジさん、以前『人見知りを克服したい』とおっしゃっていましたよね。ひとつのきっかけになるのではないかと思いまして」

「いや、だからって、いきなり接客なんて、絶対できないよ。失敗してクレームが来るに決まってる」

「ここのコンビニは住人の皆さましか来店しませんから。各々複雑な事情を抱えているのは承知の上ですし、よほどのことがない限りクレームを付ける人などいませんよ」

「でも、その、よほどのことを、ぼくみたいな奴はやりかねないと言うか……」

 シュンスケくんが突然コンビニを辞めたことで困っているようだし、入居時からぼくを気に掛けてくれているハルくんの助けになりたい気持ちはある。人見知りというコンプレックスを何とかしたいと考えているのも本心だ。でも……それでも、接客業というのは無理がある。

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