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【side.シュンスケ】4
しおりを挟む「ということは、彼女の性格に惹かれたのですね?」
「うん。冬休みの部活で初めて話をしたんだ」
当時のオレは「お調子者」と言われ、一部の男子バスケ部員に嫌われていた。わざと聞こえるように悪口を言われることも多々あったが、何食わぬ顔で部活に参加していた――そういうオレの態度が余計に腹立たしかったのだろう。ある日、小さな事件が起きた。
「オレのバッシュが真っ黒になってたんだよ」
「靴のことですか?」
「うん。何事かと思って触ってみたら、臭いで墨汁だと分かった。『ここまでやりやがったかー』ってイライラしつつ、部室棟の前の水道で洗うことにしたんだよ。――そこに偶然、彼女が現れた」
オレがバッシュを洗い始めたとき、既に部活は始まっていた。女子バスケ部も同じ時間から練習があったが、ミカは家の都合で参加が遅れており、その場を通りかかったのだ。彼女と会話をしたことなどなかったのに、突然声を掛けられた。
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