マーガレットとデイジーの恋の行方と冒険

南 夕貴

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散策(2)デイジーの魔法

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賑わっている街を歩いていると、ある区域を歩いている女子たちが不快そうに顔をしかめている。どうしてかなと気になってよく見ると、一人の若い男がタバコを吸いながら歩いていて、その煙が女子たちの方にたなびいているのだ。

デイジーの星にはタバコと言うものは無いし、はたまた歩きタバコが禁止されていることも知らないが、よく見てみると、男が口にくわえている細くて短い棒状のものには火がついていて、そこから出ている煙が不快の元らしいことが分かる。

すると男は急にタバコを火がついたまま近くに投げ捨てた。そこにはクリスマスローズが咲いているのだが、タバコが花の近くに落ちたので、火が葉っぱに引火しそうな勢いであった。デイジーは習いたての日本語で
「あなた、今投げたもの、ちゃんと火を消してゴミ箱に捨てなさいよ。」

すると男は
「嫌だね。気になるんならお前が処理すりゃいいだろ。」
デイジーが右目を瞬くと、火のついたタバコは宙に浮き、男の方へ飛んでいき、男のショルダーバッグが開いてその中に飛び込んだ。そしてバッグは燃え始めた。

「あちち、てめえ、何したんだよ。あっちいじゃねえか。」
デイジーはそれを無視してさも何もなかったかのように踵を返して歩き始めた。怒った男はデイジーの後ろ姿をじっと見た。

「なんだ、ミニスカートなんかはいてきどってやがる。よし、恥かかせてやるぜ。」
男はバッグの火を揉み消すと、そこから釣り針のついた釣り糸を引き出し、デイジーの後ろから彼女のミニスカートに向けて投げつけた。

釣り針は勢いよく飛んでいき、ミニスカートに近づき、もう少しでスカートの裾に引っかかりそうになった時、ミニスカートは急に下へ伸びてパンタロンになってしまい、釣り針はスボンに当たって地面に落ちたかと思われた瞬間、釣り針は急に上昇して向きを変えると男の方へ向かってきた。
「うわあ、こりゃ一体どういうことだ?」

そしてみるみるうちに釣り糸は男に巻き付いてしまい、男はそのまま地面に倒れてしまった。デイジーは背後の動きを察知することができ、釣り針が飛んできたので魔法でスカートをパンタロンに変えて釣り針を撥ね返したのだ。

また釣り針を逆に男の方に飛ばして巻きつけたのは、物体を自由に動かすことができるという彼女の得意とする魔法の一つなのだ。彼女は故郷のアルテミス星では魔法はかなり練習してきていたが、実践するのは初めてであった。

彼女の故郷は平和で秩序があり、実際に使う機会は皆無に等しいからだ。
「魔法を実際に使ったのは初めてだけどうまくいってよかった。それにしても早くも魔法を実戦に使うことになるなんて物騒な星なのかも。気をつけないと。」
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