マーガレットとデイジーの恋の行方と冒険

南 夕貴

文字の大きさ
24 / 61
24

奪われたオパール(オーストラリア研修編)(2)大切なオパールが盗まれる

しおりを挟む
デイジーはこれまで日本でいくつかの事件に遭遇したが、遠く離れたここオーストラリアではそんなことはないだろうと気楽に考えていた。そしてあっという間に最後の夜がやってきた。いつまでもここで楽しく暮らしたいと思ったが、明日は帰らなければならない。

ローラとデイジー、のぞみちゃんは最後の夜をしんみりとした雰囲気で過ごした。ローラは
「デイジー、のぞみ、あなたたちとの日々はとっても楽しかったわ。辛いけど今日でお別れね。きっといつか日本に行くからその時会いましょうね。」
「ええ、その日を楽しみにしているわ。」

「ここオーストラリアでよく産出される鉱物でオパールというパワーストーンがあるの。これがそう。良質のファイヤーオパールよ。永遠の友情の印としてあなたたちに一つずつあげるわ。」
「ありがとう。大切にするわ。」 

二人はそれぞれ部屋に戻った。のぞみが部屋に戻ると、そこには蛇のおもちゃが置いてあった。それを見た時、のぞみは本物だと思ってしまったのできゃっと言って尻餅をついてしまったのだが、その際にオパールを床に落としてしまった。

すると窓からスルスルとマジックハンドが伸びてきて、オパールを掴むとそのまま窓の外へ消えてしまった。窓から外を見ると覆面をした黒いマントの男がオパールを持って逃げていく。大変なことになってしまった。のぞみは外に出ながら大声で叫んだ。

「オパールが、オパールが盗まれちゃったの!」
 のぞみの悲鳴を聞いてデイジーはすぐに外に出てきた。
「あの男ね、追いかけて取り返しましょう。」

 二人は懸命に走ったが男の逃げ足は速い。デイジーはたまたまお土産の整理をしている最中だったのでお土産のブーメランを持ったまま出てきてしまったことに気がついた。

「諦めちゃダメよ。のぞみ、確かあなたはソフトボール部のピッチャーだったわよね。本当はブーメランを人に向かって投げちゃいけないんだけど、相手は悪人なんだから、手段を選んでいる時ではないわ。さあ、これをあいつに向かって投げるのよ。」

「でも、私がいつも投げているのは丸いボールだからブーメランの投げ方なんかわからないよ。」
「ダメ元でやってみて。さあ、早く。」 

のぞみがブーメランを闇雲に投げると、案の定とんでもない方向に飛んでいった。しかしデイジーはそれも計算済みだった。彼女が得意の物体移動魔法でブーメランの軌道を修正し、勢いをつけて男の太ももにぶつけた。

男が倒れ、その手からオパールがこぼれてコロコロと転がっていく。デイジーがもう一度物体移動魔法を使えば容易くオパールを取り戻すことができるが、ブーメランの時は魔法を使ったことがバレないで済んだが、オパールを取り戻すためにもう一度魔法を使えば、魔法であることが100%ばれてしまう。

オパールが空中を飛んで戻ってくることはあり得ないからだ。しかしそのままではオパールまで100メートル以上あるので、倒れているとはいっても男の方が先にオパールを掴んでしまう。デイジーが何か手はないか考えていると、そこにコパンのクオッカくんが現れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

処理中です...