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あずき族お萩ちゃん(1)
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今日は妹のマーガレットが妙に機嫌がいい。
「デイジーお姉さま、私のお友達にお萩ちゃんていう子がいるの。彼女の家は代々裏の畑で小豆を育てて収穫して、それをいろんな小豆のお菓子とかにして売っているの。
彼女は私と同じクラスだから高校生なんだけど、お父さんを手伝いながら修行をずっと続けていて、高校を卒業したら家業を受け継ぐことになっているの。だから相当な腕前なのよ。
で、お萩ちゃんが今日お店に遊びに来ないかって誘ってくれたの。お姉さん、一緒に行かなくって?」
「私もあなたも小豆大好きだものね。喜んでいくわ。嬉しいわ。どんな小豆菓子があるのかって想像するだけで胸がときめくわ。さあ、行きましょ!」
二人はちょっとオシャレなブラウスにミニスカートを履くと、のんびり歩きながら街に繰り出した。二人は街並みを楽しみながら談笑したりしてお気楽に歩いて行った。
「もうそろそろよ。あっ、確かあそこのお店だわ。看板が見えるでしょ。」
「へー、これが江戸時代から続くという小豆の老舗ね。あら、お店が閉まってるわよ。日曜日なのに。お休みなのかしら。」
「そんなはずはないわ。今日来るように言われたんだし、だいたい日曜日はかき入れどきのはずよ。」
「お姉さま、お店の裏に住居の玄関があるから、そちらからアプローチしてみましょう。」
マーガレットが玄関のブザーを押すとお萩ちゃんのお母さんが出てきた。
青ざめた顔で、狼狽しているように見えた。
「お萩ちゃんと同じクラスのマーガレットです。隣にいるのは姉のデイジーです。今日はお萩ちゃんに誘われて遊びに来たんですけど。
お店で一緒にお萩ちゃんの新作の小豆菓子を食べることになっていたのですけど、お店は閉まっていましたね。お萩ちゃんはいますか?」
お母さんはオロオロしながら
「お萩は奥の自分の部屋におりますが。まあ、とりあえずお上がり下さい。」
薄暗い廊下を歩いていくと突き当たりがお萩ちゃんの部屋だという。
「お萩ちゃん、マーガレットよ。姉のデイジーも一緒よ。部屋に入るわよ。」
返事は無かったが扉をそおっと開けた。すると部屋の片隅でお萩ちゃんがうずくまっている。二人が部屋に入ると、お萩ちゃんはうずくまったまま伏せていた顔をこちらに向けた。いつも笑顔のおはぎちゃんの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「お萩ちゃん、お店は閉まってるし、一体どうしたの?」
「よ、夜中に裏の畑の小豆とお店にある小豆のお菓子が在庫ごと盗まれてしまって何にも残ってないの。せっかく来てもらったのにごめんね。ううう。」
お萩ちゃんに励ましの言葉をかけた後、デイジーとマーガレットもがっかりしたままシャトーへ戻った。デイジーが何気なくテレビのスイッチをつけるとニュースがやっていて
「最近関東地方のあちこちで小豆及び小豆製品が盗まれるという奇怪な事件が起きています。警察では必死に捜索を続けていますが、犯行は夜中に人目のつかないところで行われており、しかもその近辺の防犯カメラの映像は何者かによって消去されているので、今のところ全く手掛かりはつかめていません。
警察によるとこれは何らかの組織による大がかりな犯罪とみられています。またこの連続事件のために、関連した産業で小豆が大幅に不足しており、小豆を使った製品の大幅な値上がりが懸念されています。」
「これじゃ、大好きな小豆のお菓子が遠のいちゃうわ。どうしたらいいの?」
「デイジーお姉さま、私のお友達にお萩ちゃんていう子がいるの。彼女の家は代々裏の畑で小豆を育てて収穫して、それをいろんな小豆のお菓子とかにして売っているの。
彼女は私と同じクラスだから高校生なんだけど、お父さんを手伝いながら修行をずっと続けていて、高校を卒業したら家業を受け継ぐことになっているの。だから相当な腕前なのよ。
で、お萩ちゃんが今日お店に遊びに来ないかって誘ってくれたの。お姉さん、一緒に行かなくって?」
「私もあなたも小豆大好きだものね。喜んでいくわ。嬉しいわ。どんな小豆菓子があるのかって想像するだけで胸がときめくわ。さあ、行きましょ!」
二人はちょっとオシャレなブラウスにミニスカートを履くと、のんびり歩きながら街に繰り出した。二人は街並みを楽しみながら談笑したりしてお気楽に歩いて行った。
「もうそろそろよ。あっ、確かあそこのお店だわ。看板が見えるでしょ。」
「へー、これが江戸時代から続くという小豆の老舗ね。あら、お店が閉まってるわよ。日曜日なのに。お休みなのかしら。」
「そんなはずはないわ。今日来るように言われたんだし、だいたい日曜日はかき入れどきのはずよ。」
「お姉さま、お店の裏に住居の玄関があるから、そちらからアプローチしてみましょう。」
マーガレットが玄関のブザーを押すとお萩ちゃんのお母さんが出てきた。
青ざめた顔で、狼狽しているように見えた。
「お萩ちゃんと同じクラスのマーガレットです。隣にいるのは姉のデイジーです。今日はお萩ちゃんに誘われて遊びに来たんですけど。
お店で一緒にお萩ちゃんの新作の小豆菓子を食べることになっていたのですけど、お店は閉まっていましたね。お萩ちゃんはいますか?」
お母さんはオロオロしながら
「お萩は奥の自分の部屋におりますが。まあ、とりあえずお上がり下さい。」
薄暗い廊下を歩いていくと突き当たりがお萩ちゃんの部屋だという。
「お萩ちゃん、マーガレットよ。姉のデイジーも一緒よ。部屋に入るわよ。」
返事は無かったが扉をそおっと開けた。すると部屋の片隅でお萩ちゃんがうずくまっている。二人が部屋に入ると、お萩ちゃんはうずくまったまま伏せていた顔をこちらに向けた。いつも笑顔のおはぎちゃんの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「お萩ちゃん、お店は閉まってるし、一体どうしたの?」
「よ、夜中に裏の畑の小豆とお店にある小豆のお菓子が在庫ごと盗まれてしまって何にも残ってないの。せっかく来てもらったのにごめんね。ううう。」
お萩ちゃんに励ましの言葉をかけた後、デイジーとマーガレットもがっかりしたままシャトーへ戻った。デイジーが何気なくテレビのスイッチをつけるとニュースがやっていて
「最近関東地方のあちこちで小豆及び小豆製品が盗まれるという奇怪な事件が起きています。警察では必死に捜索を続けていますが、犯行は夜中に人目のつかないところで行われており、しかもその近辺の防犯カメラの映像は何者かによって消去されているので、今のところ全く手掛かりはつかめていません。
警察によるとこれは何らかの組織による大がかりな犯罪とみられています。またこの連続事件のために、関連した産業で小豆が大幅に不足しており、小豆を使った製品の大幅な値上がりが懸念されています。」
「これじゃ、大好きな小豆のお菓子が遠のいちゃうわ。どうしたらいいの?」
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