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芭蕉の口癖

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前回は「不自然な作品」について説明したが、今回は是非とも共有したい言葉があったので書いておく。

『昨日の自分に飽くべし』
これは江戸時代を代表する俳人・松尾芭蕉の口癖である。芭蕉は蕉風という流派を確立したが、そのスタイルは何かの型にはまったものではなく、常に変わっていったという。言葉の意味はそのまま、「昨日の自分に飽きなさい」という意味だ。これはもちろん俳句だけに通用する言葉ではない。どこでも通用する。無論、文学界でもだ。クリエイターたるもの、常に自分をアップデートする必要がある。

にも関わらず現在のラノベ作家はどうであろう?今の自分たちに与えられている権益に固執し、自己アップデートを全く怠っている。全くもってなっていない。だからあのような時代遅れの駄文にどこかで見たようなキャラを登場させて、しかも自分の欲望が叶うように動かす。しかもそれを出版社と組んで売りさばくなんて愚の骨頂。芭蕉のばの字もなってない!そんな者がこの文芸界を腐らせているのだ。

僕はこの言葉を本で知った時、真っ先にこの評論に書こうと思って実際今書いている。ラノベが蔓延る現状を打破したいのなら、まずは僕らが芭蕉の口癖を実行するべきだ。僕らが変わらなければ、世の中はまず変わらない。世界も僕らも、いつも変わって行かなければならない。

昨日の自分に飽くべし。どんどん変えていこう。
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