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第二章 万不動産の三代目?そんなのは万屋朔には無理です
えっ、内定取り消しって
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朔が、三代目を継ぐと決めて、父親も自宅療養に変わり3月20日からの研修期間は父親の指示でYスタイルの営業が、手伝ってくれることになった。
来週から研修が始まる10日前に、中堅の建設会社で、耐震偽装と請負業者への支払いの未払いが発覚した。朔はその事で自分の身に余波が襲ってくるとは思わずに区役所の職員から依頼された生活保護者大仲さんのアパート探しを頼まれてそれに奔走していた。大仲さんがどうしても草壁町に住みたいと言っていたので、困難を極めた。3月の今頃は大学の下宿生で単身者用のアパートは埋まってしまっていて殆ど空きがない。それでも使える部屋がないかと探していた。
朔の携帯電話にメールが入ったと同時に友人の太田から電話がかかった。
「さ、さく?」
太田は焦った声で、慌てていた。朔は怪訝な声で応える。
「なんだよ、どうかしたか?」
「お前どこにいる?」
「外回り、お前の家の近くだな」
「それなら、俺の家に来い」
太田が、そんな事を言う奴ではないのを知っている朔は、もしかして平さんに何かあったのかと一瞬思う。
「なんだよ」
「お前の内定もらった会社の社長捕まった」
「えっ、え~な、なんでお前知ってるの?」
予期しなかった話に朔は、大声で怒鳴っていた。
「ネットニュースに流れてた」
「太田今からそっちに行く」
電話を切って、急いで太田の家に行く。そこで、ネットニュースを見て驚いた。『Gネットサービスは、先日耐震偽装などで捕まった建設会社の物件を不良品である事を知りながらマンションを販売していた。それだけではなく、施工不良などもあるのに何ら手立てもせずに放置していたと書いてあった。加えて、これら一連の事件の裏側にはGネットサービスの親会社が主導的立場で存在していたと言う証拠が上がっており、警察が親会社にも家宅捜査している』と書いていた。それに関わるマンションは3棟とも5棟ともいわれていて、少なくとも100世帯以上の被害者家族がいると言う。太田は朔の顔がみるみる顔色が赤く興奮していくのを見て心配になった。
朔は携帯のメールを確認するとそこには、友人達からの心配のメッセージが多く入っていた。その中に、内定を出した会社から内定取り消しのメールが入っていた。
「朔?大丈夫か?」
「うん、これってなんか詐欺じゃん」
「そうだな、お前は入社前で良かった」
「それじゃない、買った人や借りた人に対してだよ。建物は、中に居る人の安全を守るためにあるのにそこを疎かにするなんておかしすぎる。そんな会社に就職しようとしてたなんて自分の就職に対する考え方の甘さに腹が立つんだ」
「だけど、就職先がこんな家を売るから働いて欲しいなんて言わないだろうそんなこと聞いたら内定もらってもお前は蹴るだろう。あの会社は客もそこで働いている人も騙していたんだ、だからお前は、今やっている仕事にそんなものが混じらないようにすることが大切だと思うぞ」
「わかった」
朔は納得するが、釈然とはしなかった。
朔は、家に戻って父親に内定取り消しを報告した。
父親からは、
「おめでとう、二足の草鞋を履くことにならなくて」
と、至極嬉しそうに言われた。
「何がめでたいんだ、騙されて迷惑を被る人が出ているんだ、めでたくはない」
「朔、お前はどこまで厚顔無恥なんだ。今、無駄な正義感で事を進めると墓穴を掘る。不動産屋は、何も偉くない。貸し手と借り手を結ぶあくまでも仲介者である」
「それはわかっている」
父親のあまりに冷静な物言いに腹が立ってくる。
「貸し手の悪意と借り手の悪意がある。俺が、知っている借り手の悪意は、ある女性をストーキングする為にその女性の住むマンションを借りた奴がいた。そいつは本当に周りの人には良い人なんだよ。だが、目的である女性の家に家人が仕事に行っている間に入ったり、送り人無記名に花をおくりつけた。その女性には恐怖しかなかった。悲劇は起きるべきして起きた。ストーカー野郎は女性を襲った。仲介者として俺ができた事はそのストーカー野郎の言動がおかしいと思って警察に巡回をお願いする、毎日のようにそのマンションを自分で見回るぐらいしか手立ては無かった。だから、其奴が事を起こした時に大したことにはならずに済んだ。言動がおかしいぐらいで警察も捕まえられない。仲介者が全ての借り手のプライバシーを暴くこともできない。そこをしっかりと見極めて自分が加害者側にならないように断る事もあるが、全国ネットで見れるシステがあるので、借り手は万不動産以外に頼むことができる。だが、自分が仲介した借り手を守るために、自分のテリトリーを1カ月に一回は見回るとか、親父が良くしていたのは店前の掃除だ。朝から箒とちりとりを持って街を掃除していた。それが今老人会が子供の見守りの時に続けてやってくれている、俺はそれはできなかったが、老人会の会合には出て情報を教えてもらったよ、彼らは結構物知りだぞ」
「フーン」
「ただ、貸し手の悪意は、ある程度防げる事もあるが、万不動産を頼ってくれる人を守るしかできないよ。だからあの耐震偽装のマンションをしっかりと頭に叩き込み万不動産を頼ってきた人をそんな物件に合わせないと言う気持ちを持つことだよ。みんなを万不動産で守る事は今のシステムでは難しいからここのところをしっかりとわかっておくように」
朔は、父親に釘を刺されて、自分の傲慢で稚拙な考えを自覚した。
来週から研修が始まる10日前に、中堅の建設会社で、耐震偽装と請負業者への支払いの未払いが発覚した。朔はその事で自分の身に余波が襲ってくるとは思わずに区役所の職員から依頼された生活保護者大仲さんのアパート探しを頼まれてそれに奔走していた。大仲さんがどうしても草壁町に住みたいと言っていたので、困難を極めた。3月の今頃は大学の下宿生で単身者用のアパートは埋まってしまっていて殆ど空きがない。それでも使える部屋がないかと探していた。
朔の携帯電話にメールが入ったと同時に友人の太田から電話がかかった。
「さ、さく?」
太田は焦った声で、慌てていた。朔は怪訝な声で応える。
「なんだよ、どうかしたか?」
「お前どこにいる?」
「外回り、お前の家の近くだな」
「それなら、俺の家に来い」
太田が、そんな事を言う奴ではないのを知っている朔は、もしかして平さんに何かあったのかと一瞬思う。
「なんだよ」
「お前の内定もらった会社の社長捕まった」
「えっ、え~な、なんでお前知ってるの?」
予期しなかった話に朔は、大声で怒鳴っていた。
「ネットニュースに流れてた」
「太田今からそっちに行く」
電話を切って、急いで太田の家に行く。そこで、ネットニュースを見て驚いた。『Gネットサービスは、先日耐震偽装などで捕まった建設会社の物件を不良品である事を知りながらマンションを販売していた。それだけではなく、施工不良などもあるのに何ら手立てもせずに放置していたと書いてあった。加えて、これら一連の事件の裏側にはGネットサービスの親会社が主導的立場で存在していたと言う証拠が上がっており、警察が親会社にも家宅捜査している』と書いていた。それに関わるマンションは3棟とも5棟ともいわれていて、少なくとも100世帯以上の被害者家族がいると言う。太田は朔の顔がみるみる顔色が赤く興奮していくのを見て心配になった。
朔は携帯のメールを確認するとそこには、友人達からの心配のメッセージが多く入っていた。その中に、内定を出した会社から内定取り消しのメールが入っていた。
「朔?大丈夫か?」
「うん、これってなんか詐欺じゃん」
「そうだな、お前は入社前で良かった」
「それじゃない、買った人や借りた人に対してだよ。建物は、中に居る人の安全を守るためにあるのにそこを疎かにするなんておかしすぎる。そんな会社に就職しようとしてたなんて自分の就職に対する考え方の甘さに腹が立つんだ」
「だけど、就職先がこんな家を売るから働いて欲しいなんて言わないだろうそんなこと聞いたら内定もらってもお前は蹴るだろう。あの会社は客もそこで働いている人も騙していたんだ、だからお前は、今やっている仕事にそんなものが混じらないようにすることが大切だと思うぞ」
「わかった」
朔は納得するが、釈然とはしなかった。
朔は、家に戻って父親に内定取り消しを報告した。
父親からは、
「おめでとう、二足の草鞋を履くことにならなくて」
と、至極嬉しそうに言われた。
「何がめでたいんだ、騙されて迷惑を被る人が出ているんだ、めでたくはない」
「朔、お前はどこまで厚顔無恥なんだ。今、無駄な正義感で事を進めると墓穴を掘る。不動産屋は、何も偉くない。貸し手と借り手を結ぶあくまでも仲介者である」
「それはわかっている」
父親のあまりに冷静な物言いに腹が立ってくる。
「貸し手の悪意と借り手の悪意がある。俺が、知っている借り手の悪意は、ある女性をストーキングする為にその女性の住むマンションを借りた奴がいた。そいつは本当に周りの人には良い人なんだよ。だが、目的である女性の家に家人が仕事に行っている間に入ったり、送り人無記名に花をおくりつけた。その女性には恐怖しかなかった。悲劇は起きるべきして起きた。ストーカー野郎は女性を襲った。仲介者として俺ができた事はそのストーカー野郎の言動がおかしいと思って警察に巡回をお願いする、毎日のようにそのマンションを自分で見回るぐらいしか手立ては無かった。だから、其奴が事を起こした時に大したことにはならずに済んだ。言動がおかしいぐらいで警察も捕まえられない。仲介者が全ての借り手のプライバシーを暴くこともできない。そこをしっかりと見極めて自分が加害者側にならないように断る事もあるが、全国ネットで見れるシステがあるので、借り手は万不動産以外に頼むことができる。だが、自分が仲介した借り手を守るために、自分のテリトリーを1カ月に一回は見回るとか、親父が良くしていたのは店前の掃除だ。朝から箒とちりとりを持って街を掃除していた。それが今老人会が子供の見守りの時に続けてやってくれている、俺はそれはできなかったが、老人会の会合には出て情報を教えてもらったよ、彼らは結構物知りだぞ」
「フーン」
「ただ、貸し手の悪意は、ある程度防げる事もあるが、万不動産を頼ってくれる人を守るしかできないよ。だからあの耐震偽装のマンションをしっかりと頭に叩き込み万不動産を頼ってきた人をそんな物件に合わせないと言う気持ちを持つことだよ。みんなを万不動産で守る事は今のシステムでは難しいからここのところをしっかりとわかっておくように」
朔は、父親に釘を刺されて、自分の傲慢で稚拙な考えを自覚した。
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