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《第二部》一途なΩの新しい旅立ち
オーデンス騎士団の今
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その後、大広間で夕食会が行われた。騎士でもオーデンス直属の騎士が多く参加していたが、オーデンス領でも北の騎士団からの参加はなかった。お祝いの使者はあったと言うが、リュウールは会ってもいない。その他の領地を任せている貴族の中にも使者さえ寄越してきていない所もある事を聞いて、リュウールはショックであった。昔からのオーデンス騎士団は顔を揃えて参加している。その騎士達の手前狼狽えずに夕食会を終えた。
食事後、オーデンスの騎士団を纏めてくれていた騎士からリュウールに意見をと言われた。
「この15年と言う年月で、オーデンス城直属の者はそれなりに騎士としてオーデンス城を守ると言う事をしてきたが、遠くにある者にとってはオーデンス城との関係を保つ術がなかった事は否定できない。直属の騎士達もそれぞれに歳を取り、代替わりしてきている。その事を先ず知っていて欲しい。シーナ様、ルナ様が次々に亡くなり、騎士の中には心の拠り所を失った喪失感が漂っていた。それに檄を飛ばし鼓舞してくれていた、ジョナサン・フォンテン男爵が、行方不明になった。喪失感はより深く深くなっていった原因だと思う」
「それはわかるが、ここでオーデンス城を見放す事は、アスラン王国の死活問題になる。ルドルフ・アーツが辺境伯と赴いた限りは、身を粉にして働きたいと思っているからだ。このオーデンス城を北の守りの要にする為には、『オーデンスのΩ』であるリュウール様が必要である。その為にリュウール様も努力されている。必ず北の守りの為に守りの三騎士団と再度手を繋ぐようになる。その為にも直属の騎士団の結束をこのアーツと一緒に頑張ってはくれないか?」
アーツ辺境伯が答える。
「しかし、フォンテン男爵はまだ、王都の仕事が終わってないのだろう?」
「ロン・フォンテン男爵は、リュウール様が動かれる前の地ならしをするのだ、そして1番の問題であるガードナー男爵家の領地と騎士団の消息について調査を行う」
トーマスが、答える。
「本当か、本当にガードナー男爵家の騎士団がまだあるのか?」
「皆さん、父が、急に行方不明になった事について息子として皆さんに謝罪する。父は、私がこの地を離れるまでガードナー男爵家が率いる騎士団と連絡を取っていた。これは事実です。そしてガードナー騎士団が、3騎士団中1番の数と実力を誇っていた。それが、父の行方と共に瞬く間に消えた様になるとはおかしすぎる。何処かに居ると確信しているが、それを探す為に一族の長として、私フォンテン男爵が、調査にあの地に行く」
ロンが、宣言する。
「それが本当ならば、皆が戻られる迄、生い先短い我らがオーデンス城を守る」
「代替わりについては、アーツ辺境伯と我らゴーガン伯爵家が相談に乗る」
と宣言する。そして、ゴーガン伯爵が、話し始めた。
「今のオーデンスの状況は、母であるシーナ・オーデンス伯爵は想像していなかった。自分の代替わりはルナがしっかりと行うと思って逝ったのだ。それは、ここに来ている騎士もそう思っていた。ルナの急死は誰も予想していなかった。その時、この甥はまだ4歳であった。自分の身も守れない状況だった。それでも君達はオーデンス城を支え様としてくれた。叔父として君達には感謝しかない。伯爵を継承してもまだ、Ωとしては未覚醒で発情期はまだである。それを狙って、今回の入城でもロームの街で、誘拐されそうになっている。
その様な状況がある中、オーデンス城に篭り発情期を待つよりも当主として見聞を広げられる留学を選択したのだ、番については国王陛下が考えてくださっているから心配はない。
無事発情期を迎え、番を得て、『オーデンスのΩ』として北の三大騎士団を上手く傘下に入れた暁には再度入城を果たすだろう。それまでの間、君達には負担がかかるだろうが、待ってやって欲しいと、叔父として切に願う。そして、その時にはオーデンス公爵家を再興する。これは夢ではない、リュウール・オーデンスが居れば叶う現実だ」
「リュウール・オーデンス伯爵万歳、万歳」
ゴーガン伯爵の話を受けて、ロンが、叫ぶ。
「「「万歳」」」
「それでは、その時迄、オーデンス城はしっかとこのオーデンス騎士団がアーツ辺境伯を盛り立て守ります」
「ありがとうございます、僕の未熟さは、年齢然り、経験値然り他にもたくさんある中でも、僕は1人でこのオーデンス伯爵と言うものに臨むのではない、常に皆さんの協力が必要なのです。北の三大騎士団は各々の考えがあるでしょうが、アスラン王国を守ることについては間違いなく僕達と同じであるでしょう。協力し合わなければ強力な大国に太刀打ちできないことはお互い周知です。僕は1人でやるのではなく、このオーデンス城を守ってくれている騎士団の皆と心ひとつにしてオーデンスの未来、アスランの未来のために頑張ってきます。僕が留守の間オーデンスをよろしくお願いします」
そして、リュウールの入城の一連の行事は終了した。
食事後、オーデンスの騎士団を纏めてくれていた騎士からリュウールに意見をと言われた。
「この15年と言う年月で、オーデンス城直属の者はそれなりに騎士としてオーデンス城を守ると言う事をしてきたが、遠くにある者にとってはオーデンス城との関係を保つ術がなかった事は否定できない。直属の騎士達もそれぞれに歳を取り、代替わりしてきている。その事を先ず知っていて欲しい。シーナ様、ルナ様が次々に亡くなり、騎士の中には心の拠り所を失った喪失感が漂っていた。それに檄を飛ばし鼓舞してくれていた、ジョナサン・フォンテン男爵が、行方不明になった。喪失感はより深く深くなっていった原因だと思う」
「それはわかるが、ここでオーデンス城を見放す事は、アスラン王国の死活問題になる。ルドルフ・アーツが辺境伯と赴いた限りは、身を粉にして働きたいと思っているからだ。このオーデンス城を北の守りの要にする為には、『オーデンスのΩ』であるリュウール様が必要である。その為にリュウール様も努力されている。必ず北の守りの為に守りの三騎士団と再度手を繋ぐようになる。その為にも直属の騎士団の結束をこのアーツと一緒に頑張ってはくれないか?」
アーツ辺境伯が答える。
「しかし、フォンテン男爵はまだ、王都の仕事が終わってないのだろう?」
「ロン・フォンテン男爵は、リュウール様が動かれる前の地ならしをするのだ、そして1番の問題であるガードナー男爵家の領地と騎士団の消息について調査を行う」
トーマスが、答える。
「本当か、本当にガードナー男爵家の騎士団がまだあるのか?」
「皆さん、父が、急に行方不明になった事について息子として皆さんに謝罪する。父は、私がこの地を離れるまでガードナー男爵家が率いる騎士団と連絡を取っていた。これは事実です。そしてガードナー騎士団が、3騎士団中1番の数と実力を誇っていた。それが、父の行方と共に瞬く間に消えた様になるとはおかしすぎる。何処かに居ると確信しているが、それを探す為に一族の長として、私フォンテン男爵が、調査にあの地に行く」
ロンが、宣言する。
「それが本当ならば、皆が戻られる迄、生い先短い我らがオーデンス城を守る」
「代替わりについては、アーツ辺境伯と我らゴーガン伯爵家が相談に乗る」
と宣言する。そして、ゴーガン伯爵が、話し始めた。
「今のオーデンスの状況は、母であるシーナ・オーデンス伯爵は想像していなかった。自分の代替わりはルナがしっかりと行うと思って逝ったのだ。それは、ここに来ている騎士もそう思っていた。ルナの急死は誰も予想していなかった。その時、この甥はまだ4歳であった。自分の身も守れない状況だった。それでも君達はオーデンス城を支え様としてくれた。叔父として君達には感謝しかない。伯爵を継承してもまだ、Ωとしては未覚醒で発情期はまだである。それを狙って、今回の入城でもロームの街で、誘拐されそうになっている。
その様な状況がある中、オーデンス城に篭り発情期を待つよりも当主として見聞を広げられる留学を選択したのだ、番については国王陛下が考えてくださっているから心配はない。
無事発情期を迎え、番を得て、『オーデンスのΩ』として北の三大騎士団を上手く傘下に入れた暁には再度入城を果たすだろう。それまでの間、君達には負担がかかるだろうが、待ってやって欲しいと、叔父として切に願う。そして、その時にはオーデンス公爵家を再興する。これは夢ではない、リュウール・オーデンスが居れば叶う現実だ」
「リュウール・オーデンス伯爵万歳、万歳」
ゴーガン伯爵の話を受けて、ロンが、叫ぶ。
「「「万歳」」」
「それでは、その時迄、オーデンス城はしっかとこのオーデンス騎士団がアーツ辺境伯を盛り立て守ります」
「ありがとうございます、僕の未熟さは、年齢然り、経験値然り他にもたくさんある中でも、僕は1人でこのオーデンス伯爵と言うものに臨むのではない、常に皆さんの協力が必要なのです。北の三大騎士団は各々の考えがあるでしょうが、アスラン王国を守ることについては間違いなく僕達と同じであるでしょう。協力し合わなければ強力な大国に太刀打ちできないことはお互い周知です。僕は1人でやるのではなく、このオーデンス城を守ってくれている騎士団の皆と心ひとつにしてオーデンスの未来、アスランの未来のために頑張ってきます。僕が留守の間オーデンスをよろしくお願いします」
そして、リュウールの入城の一連の行事は終了した。
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