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死を越えて星紡ぐ
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初めて君に出会ったのは満点の星が輝く明るい夜だった。
ステラ「ねぇ、君はそこで何してるの?」
アンデッド「…星を見てた」
ステラ「そっか!私も隣いいですか?」
アンデッド「どうぞ」
ステラ「君は星が好きなの?」
アンデッド「綺麗な景色が好きなんだ。お前も?」
ステラ「うん、私は星が好き。目には見えるのに正確な形とかはひとつも分からないし…不思議な事だらけ。でも暗い夜を明るく照らしてくれるたくさんの星が好き!」
アンデッド「夜を照らすなら…街灯とかもそうじゃん」
ステラ「もう…なんにも分かってないなぁ」
アンデッド「…ごめん」
ステラ「謝らなくて大丈夫だよ。…ねぇ」
アンデッド「ん?」
ステラ「君の名前は?」
アンデッド「アンデッド」
ステラ「アン…デッド?」
アンデッド「変な名前だろ」
ステラ「そうかな?かっこいい名前だと思うよ!」
アンデッド「…ありがと。お前は?」
ステラ「私はステラ。よろしくねアンデッド!」
アンデッド「よろしくステラ」
ステラ「アンデッドはよくここに来るの?」
アンデッド「毎日来てる」
ステラ「毎日…すごいね」
アンデッド「ステラ?」
ステラ「私も毎日ここに来ていい?一緒に星を見ようよ」
アンデッド「俺…知識とかないけど」
ステラ「大丈夫!いっぱい教えてあげるから」
アンデッド「じゃあ、一緒に見ようか」
ステラ「うん!」
あの日も君と一緒に星を見た。夏の暑い日だった。
ステラ「覚えた?アンデッド」
アンデッド「んーと…あれがベガ?」
ステラ「違う違う!あれがベガだよ」
アンデッド「あれは?」
ステラ「デネブ」
アンデッド「デネブ…」
ステラ「うん!あれがアルタイル!」
アンデッド「アルタイルか」
ステラ「覚えられた?」
アンデッド「なんとか…?」
ステラ「夏の大三角っていう星達…みっつ合わさってそうやって呼ばれてるの見ると…なんかちょっと微笑ましい」
アンデッド「微笑ましい?」
ステラ「なんかさ…家族みたいじゃない?」
アンデッド「家族…」
ステラ「アンデッド?どうしたの?」
アンデッド「なんでもないよ。誰がママとパパ?」
ステラ「ママはベガでパパが…」
アンデッド「アルタイル?」
ステラ「うん!」
アンデッド「じゃあ子供はデネブだ」
ステラ「そう。星の家族…ふふっ」
アンデッド「どうしたの?」
ステラ「こういう話をできる人も少なかったから…なんか話せて嬉しいなって」
アンデッド「…そっか」
ステラ「うん。ありがとねあんくん」
アンデッド「え?」
ステラ「ん?私今…君のことなんて言った?」
アンデッド「あんくん…」
ステラ「あんくん…ご、ごめんね!急にそんな呼び方しちゃって…嫌だったらすぐにやめるから」
アンデッド「嫌じゃないよ」
ステラ「ほんと?」
アンデッド「ほんと」
ステラ「じゃあ…あんくんって呼ぶね」
アンデッド「うん、ありがとうティラ」
ステラ「!今…」
アンデッド「ティラ」
ステラ「…初めてそうやって呼ばれたな」
アンデッド「俺もその呼ばれ方は初めてだったよ」
次の日もその次の日も君と星を見た。変わらない景色を。
ステラ「あんくん」
アンデッド「ん?」
ステラ「ふと気になったんだけどさ…あんくんって何歳」
アンデッド「…ティラは?」
ステラ「私はね、今年で19歳だよ」
アンデッド「そっか…俺は今年で20歳」
ステラ「一個上!」
アンデッド「近かったね」
ステラ「だからかなぁ」
アンデッド「何が?」
ステラ「あんくんと居ると落ち着くんだ…年上の包容力なのかなぁって」
アンデッド「一個しか変わんないじゃん」
ステラ「包容力あるのー」
アンデッド「はいはい」
ステラ「そういえばあんくんはいつからこの場所知ってるの?」
アンデッド「…覚えてないや」
ステラ「そっかー…ありがとね」
アンデッド「なんでお礼?」
ステラ「あの日この場所を見つけてずっと居てくれたお礼だよ。あんくんが居なかったら今の私はここに来れてないもん」
アンデッド「俺もティラが来なかったらずっと一人だったんだよ…ずっと…ずっと……」
ステラ「…もう一人じゃないよ大丈夫」
アンデッド「ありがとな…」
次の日もその次の日も…そう思ってた。
あの日は君が居なくて一人だった。
一枚の手紙を残して…そこから君は来なくなった。
『あんくんへ』
急にこんな手紙だけでごめんね。
君と一緒に星を見ることが適わなくなっちゃいました。
私の人生の中で君と一緒に見ていたあの時間は、
凄く大切で何にも変えられないくらい濃い時間でした。
でも、あんくんはきっともっともっと長い。
家族の話をした時に、年齢を聞いた時に
君は凄く悲しい、寂しい顔をしていました。
私とはどこか違うって…心の中で思ってました。
でもそんなの関係ないよね?
あの時間の時だけはあのたくさんの星達を
君と2人だけで独占してるようでした
最後にもう一度…一緒に星を見たかったな
アンデッド「…ティラ」
星を見上げた。
あの日に戻りたくて。涙を堪えたくて。
アンデッド「知識もなんも無かった。星のことなんてなんにもわかんなかったんだ。それでも星を見続けたのはティラ…お前が居たから。ティラが来る前も見ていたのは一人が寂しかったから…もう一人じゃないよ大丈夫って言ってくれたよな」
涙は止まらなかった。
アンデッド「居なくなってから言うのずるいよな。俺は普通の人間じゃない。もう200年近く生きて…ずっと一人だった。俺は不死身なんだ。死ぬ事が出来ない。でも俺の長い時間を少しでも埋めてくれたお前が好きだった。ありがとなティラ。どうか元気で」
その日から5年が経った。
女性「あの…ここで一人で何をしているんですか?」
アンデッド「!」
女性「いつもここに居るから少し気になって…」
アンデッド「『…星を…見ていました』」
あの日初めて君と出会ったこの場所を――
7月7日の夜に君と出会えた事をずっと心の中に
ステラ「ねぇ、君はそこで何してるの?」
アンデッド「…星を見てた」
ステラ「そっか!私も隣いいですか?」
アンデッド「どうぞ」
ステラ「君は星が好きなの?」
アンデッド「綺麗な景色が好きなんだ。お前も?」
ステラ「うん、私は星が好き。目には見えるのに正確な形とかはひとつも分からないし…不思議な事だらけ。でも暗い夜を明るく照らしてくれるたくさんの星が好き!」
アンデッド「夜を照らすなら…街灯とかもそうじゃん」
ステラ「もう…なんにも分かってないなぁ」
アンデッド「…ごめん」
ステラ「謝らなくて大丈夫だよ。…ねぇ」
アンデッド「ん?」
ステラ「君の名前は?」
アンデッド「アンデッド」
ステラ「アン…デッド?」
アンデッド「変な名前だろ」
ステラ「そうかな?かっこいい名前だと思うよ!」
アンデッド「…ありがと。お前は?」
ステラ「私はステラ。よろしくねアンデッド!」
アンデッド「よろしくステラ」
ステラ「アンデッドはよくここに来るの?」
アンデッド「毎日来てる」
ステラ「毎日…すごいね」
アンデッド「ステラ?」
ステラ「私も毎日ここに来ていい?一緒に星を見ようよ」
アンデッド「俺…知識とかないけど」
ステラ「大丈夫!いっぱい教えてあげるから」
アンデッド「じゃあ、一緒に見ようか」
ステラ「うん!」
あの日も君と一緒に星を見た。夏の暑い日だった。
ステラ「覚えた?アンデッド」
アンデッド「んーと…あれがベガ?」
ステラ「違う違う!あれがベガだよ」
アンデッド「あれは?」
ステラ「デネブ」
アンデッド「デネブ…」
ステラ「うん!あれがアルタイル!」
アンデッド「アルタイルか」
ステラ「覚えられた?」
アンデッド「なんとか…?」
ステラ「夏の大三角っていう星達…みっつ合わさってそうやって呼ばれてるの見ると…なんかちょっと微笑ましい」
アンデッド「微笑ましい?」
ステラ「なんかさ…家族みたいじゃない?」
アンデッド「家族…」
ステラ「アンデッド?どうしたの?」
アンデッド「なんでもないよ。誰がママとパパ?」
ステラ「ママはベガでパパが…」
アンデッド「アルタイル?」
ステラ「うん!」
アンデッド「じゃあ子供はデネブだ」
ステラ「そう。星の家族…ふふっ」
アンデッド「どうしたの?」
ステラ「こういう話をできる人も少なかったから…なんか話せて嬉しいなって」
アンデッド「…そっか」
ステラ「うん。ありがとねあんくん」
アンデッド「え?」
ステラ「ん?私今…君のことなんて言った?」
アンデッド「あんくん…」
ステラ「あんくん…ご、ごめんね!急にそんな呼び方しちゃって…嫌だったらすぐにやめるから」
アンデッド「嫌じゃないよ」
ステラ「ほんと?」
アンデッド「ほんと」
ステラ「じゃあ…あんくんって呼ぶね」
アンデッド「うん、ありがとうティラ」
ステラ「!今…」
アンデッド「ティラ」
ステラ「…初めてそうやって呼ばれたな」
アンデッド「俺もその呼ばれ方は初めてだったよ」
次の日もその次の日も君と星を見た。変わらない景色を。
ステラ「あんくん」
アンデッド「ん?」
ステラ「ふと気になったんだけどさ…あんくんって何歳」
アンデッド「…ティラは?」
ステラ「私はね、今年で19歳だよ」
アンデッド「そっか…俺は今年で20歳」
ステラ「一個上!」
アンデッド「近かったね」
ステラ「だからかなぁ」
アンデッド「何が?」
ステラ「あんくんと居ると落ち着くんだ…年上の包容力なのかなぁって」
アンデッド「一個しか変わんないじゃん」
ステラ「包容力あるのー」
アンデッド「はいはい」
ステラ「そういえばあんくんはいつからこの場所知ってるの?」
アンデッド「…覚えてないや」
ステラ「そっかー…ありがとね」
アンデッド「なんでお礼?」
ステラ「あの日この場所を見つけてずっと居てくれたお礼だよ。あんくんが居なかったら今の私はここに来れてないもん」
アンデッド「俺もティラが来なかったらずっと一人だったんだよ…ずっと…ずっと……」
ステラ「…もう一人じゃないよ大丈夫」
アンデッド「ありがとな…」
次の日もその次の日も…そう思ってた。
あの日は君が居なくて一人だった。
一枚の手紙を残して…そこから君は来なくなった。
『あんくんへ』
急にこんな手紙だけでごめんね。
君と一緒に星を見ることが適わなくなっちゃいました。
私の人生の中で君と一緒に見ていたあの時間は、
凄く大切で何にも変えられないくらい濃い時間でした。
でも、あんくんはきっともっともっと長い。
家族の話をした時に、年齢を聞いた時に
君は凄く悲しい、寂しい顔をしていました。
私とはどこか違うって…心の中で思ってました。
でもそんなの関係ないよね?
あの時間の時だけはあのたくさんの星達を
君と2人だけで独占してるようでした
最後にもう一度…一緒に星を見たかったな
アンデッド「…ティラ」
星を見上げた。
あの日に戻りたくて。涙を堪えたくて。
アンデッド「知識もなんも無かった。星のことなんてなんにもわかんなかったんだ。それでも星を見続けたのはティラ…お前が居たから。ティラが来る前も見ていたのは一人が寂しかったから…もう一人じゃないよ大丈夫って言ってくれたよな」
涙は止まらなかった。
アンデッド「居なくなってから言うのずるいよな。俺は普通の人間じゃない。もう200年近く生きて…ずっと一人だった。俺は不死身なんだ。死ぬ事が出来ない。でも俺の長い時間を少しでも埋めてくれたお前が好きだった。ありがとなティラ。どうか元気で」
その日から5年が経った。
女性「あの…ここで一人で何をしているんですか?」
アンデッド「!」
女性「いつもここに居るから少し気になって…」
アンデッド「『…星を…見ていました』」
あの日初めて君と出会ったこの場所を――
7月7日の夜に君と出会えた事をずっと心の中に
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