アラサー☆ピクニック ~婚活とソトメシと年下男子と~

葉嶋ナノハ

文字の大きさ
20 / 74

6 海を見ながらピクニック!(1)

 次の日曜日。

 カナコは大倉に誘われて横浜のみなとみらいに来た。駅周辺は人が多すぎるという理由で、少し離れた場所で待ち合わせをしていた。

「お待たせしました、すみません……!」

 カナコは先に到着していた大倉に駆け寄り、挨拶をする。

 マンションから一緒に出かけようとは言われなくて良かったと、ふと思う。
 ここに来るまで一時間以上かかったのだから、その間、ほぼ初対面で話をもたせるにはハードルが高すぎるからだ。

「いえ、俺も今来たところですのでお気になさらず。では行きましょうか」

「はい。あの、私も荷物持ちますね」

 大倉の足元に大きなリュックと、クーラーボックスが置いてある。今日のために用意してくれたのだろう。

「ああ、全然大丈夫ですよ。慣れてますから」

「すみません。……じゃあ今日は、どうぞよろしくお願いいたします」

「こちらこそお願いします」

 頭を下げ合って、出発した。

 こっちです、と言う大倉についていく。

(なんか、先日会った時とちょっと印象が違うというか……)

 無言で歩く大倉の横でカナコは不安になった。

 スラリとした体型の大倉は、160センチのカナコから見て20センチ以上は高く見える。

(これはモテるわね。というか、絶対に彼女がいるわよね? それなのに休日を使わせてしまった……!)

 熱々のおつゆを食べたいという欲望に駆られて、大倉の身の上などまるで考えていなかったのである。

 反省しつつ、話しかけてみることにした。

「あの、お天気が良くてよかったですね。そろそろ梅雨に入るから、心配だったんですけど」

「え? ああ、本当ですね」

 大倉が空を見上げて言った。
 しかし会話はそこで終了。また無言で歩く時間が始まる。

(もしかして機嫌悪い? やっぱり貴重な休日を使わされて怒ってるとか? いや、でも大倉さんのほうから誘ってきたんだから、私に怒る理由はイミフよね……)

 歩いていると、すぐに海が見えた。日に当たってキラキラと輝いている。

 高層ビルや大きなホテルが建ち並び、遊園地やモノレールがある都会的な観光地に海が広がっているのは、不思議な感覚だった。
 こんなに魅力的な場所ならば、ここまで人が多いのもうなずける。

「ああーっ!!」

 突然、隣で大倉が叫んだ。

「はっ、はい!? どうしました?」

 慌てて大倉を見ると、彼は立ち止まってカナコから目を逸らした。

「……すいません、俺」

「どうしたんですか? もしかして忘れ物とか?」

「いや、準備は万端です。そうじゃなくて、俺……、普段からこうなんで、気にしないでください」

 大倉が申し訳なさそうな顔をして、チラとこちらを見た。

 大抵の女子はそんな顔をされたら落ちてしまうのではないだろうか、という表情である。

「えっと、ごめんなさい。私の理解力がなくて、なぜ大倉さんが謝っているのかわからないんですが……」

 大倉に向き合って尋ねた。
 広々とした歩道の端にいるカナコたちの横を、たくさんの人々が通り過ぎていく。

「……俺って無愛想らしいんです。しかも自覚がないという」

「え?」

「会社でも先輩に注意されています。で、今日みたいに緊張してると、そこに拍車がかかってしまうようで……今も、そうですよね?」

 視線を合わせた大倉は、どうしていいかわからないという不安げな顔をしていた。大型犬のようだと思ったら失礼だろうか。

「大倉さん、緊張してるんですか?」

「緊張してますよ。女性を連れて出かけるんですから。ほとんど話したこともないわけですし……」

「大丈夫。私もすごく緊張していましたから」

「そうなんですか?」

「そうですよ。でも今、大倉さんが自分のことを話してくれたから、だいぶ緊張が解けました」
感想 0

あなたにおすすめの小説

170センチの彼女がヒールを履かない理由 ―20年前のラークと、今の密会―

まさき
恋愛
二十年前、深夜のコンビニ事務所。 俺は、オーナーの娘である「彼女」に恋をしていた。 ​身長170センチ。いつも底の平らな靴を履き、ラークを吸う一歳上の彼女。 176センチある俺は、その「6センチの差」だけを自負に、彼女の隣に立っていた。 贈ったのは、色気のない「実用品」。 防犯カメラの死角で交わした、一度きりのキス。 ​「もう会うことはない」――そう思って街を出てから二十年。 ​再会した彼女の指には、指輪があった。 かつての憧れは、二十年の時を経て、誰にも言えない「不倫」という名の毒に変わる。 ​176センチの俺が、20年かけて170センチの彼女に溺れていく、背徳の再愛物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

幼なじみは今日も私を抱きしめたまま

由香
恋愛
主人公・美月の幼なじみ、陽斗は距離が近すぎる。 家では当たり前のように後ろから抱きしめてきて、 頬をすり寄せる。 学校では肩に顎を乗せ、退屈そうにほっぺをつつく。 「このほっぺ好き」 「意味わかんないんだけど…」 幼い頃からずっと一緒だったせいで、美月はこの距離に慣れてしまっていた。 けれど文化祭の日。 「美月、他の男に触らせないで」 幼なじみの静かな独占欲が、ついに本気を見せる。 これは―― 距離ゼロの幼なじみが、恋人になるまでの甘すぎる物語。

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

元カノと復縁する方法

なとみ
恋愛
「別れよっか」 同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。 会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。 自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。 表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!