アラサー☆ピクニック ~婚活とソトメシと年下男子と~

葉嶋ナノハ

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11 師匠にお礼を(1)

 師匠の言葉が響いたことで、カナコの心は軽くなり、無理に婚活を進めていくことをいったん止めた。

 もちろん結婚はしたいので、いずれは復活させるつもりだ。でもその時は今すぐではなくていいと思えたのだ。

「6月も終わりか~。そしてしばらく梅雨は続く……」

 カナコはベッドの上で寝転びながら、先日、大倉の部屋で焼き肉をした内容のブログ記事を眺めていた。

「部屋で撮った写真なのに上手すぎない?」

 しかも、外付けのレンズをつけたとはいえスマホで撮った写真とは思えない出来なのだ。

「大倉さん、本当にすごい人なんだな……。って、それはわかりきってることとして、これからどうしよう」

 ピクニックに持って行きたいお弁当のアイディアは、次々に浮かんでいるのだが……。

 梅雨時は食べ物が傷みやすく、外で活動も出来ない。
 やっと梅雨が明けたと思えば、ここ最近は、いきなり酷暑の夏がやってくる。

「せっかく大倉さんと一緒にアウトドアチェアを買いに行ったのに、秋まで使う機会はないのかも。悲しいけど」

 ネットで買ってもいいかと思っていたが、大倉と一緒に実店舗を巡ってみたところ、絶対に試した方がいいという気持ちに変わった。

 座面の深さ、高さ、座り心地、組み立て型など、本当に千差万別で、初心者の自分が適当に買っていたら失敗していただろう。

 結果、お気に入りのチェアが買えて良かったし、大倉も満足そうにしていたので、使うのが楽しみだったのだが……。

「チェアの件もだけど、大倉さんにはお世話になりっぱなしだから、お礼がしたかったんだけど、お天気が悪いんじゃ……。ん!? 何これ!?」

 ブログ記事を眺めた後、カナコは自分のSNSを徘徊していた。
 そこで目に付いた「普通ではないキャンプ」の様子に驚く。

「アウトドアレンタルスペース?? ここなら雨でもくつろげます!? え、すごい、室内にテントが置いてある……!」

 先日、大倉とアウトドアチェアを買いに行った際に見た、アウトドアショップのスペースに似ていた。

 床には人工芝が敷いてあり、その上に大型のテントが張られている。そばにはアウトドアチェアやデスクも置かれ、部屋の奥にはミニキッチンも完備されていた。

「冷蔵庫があるから食材を傷ませる心配がない……これだ!」

 カナコは飛び起きて詳細を眺めた。

「百戦錬磨のアウトドア男子をこういう場所に誘うのは気が引けるけど……、ここなら私にもできることがたくさんある!」

 いやそういうのはちょっと興味ないっすね、と言われそうだが、誘ってみることにした。


 カナコがメッセージを送ると、大倉が通話で返事をしてきた。

『行きます、行きます! そういうところの調査をしてみたかったんですけど、ひとりじゃちょっとアレかなと思って行けなかったんですよ!』

 乗り気ではないかもと思っていたのに、彼の反応が真逆だったことに驚く。

「良かったです! 大倉さんは手ぶらで来てくださいね」

『いいんですか?』

「いつもお世話になっているお礼がしたいんです。ぜひ手ぶらでお願いします」

『ではお言葉に甘えて……、あ、車は俺が出しますので、一緒に行きましょう。クーラーボックスとか必要なら言ってください。お貸しできますので』

「ありがとうございます、助かります」

 日にちと時間を決めて、通話を終えた。

「意外と乗り気でビックリした~。でもこれで大倉さんにお礼ができる。どんなメニューにしよう?」

 雨の日も風の日も雪の日もキャンプをしている彼をもてなすには、どうすればいいのか。

 カナコはワクワクしながら、レシピを検索し始めた。

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