アラサー☆ピクニック ~婚活とソトメシと年下男子と~

葉嶋ナノハ

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11 師匠にお礼を(2)

 そして頭をひねって考える。

 得意なメニューの食材を買っていって、その場で作って食べてもらう……。

「ううん、違うのよ。いくら設備が整っているとはいえ、私がやりたいのはあくまでもピクニック。そう、ピクニックらしさを極めたいと思っているのだから……!」

 思い直したカナコは、原点に帰ることにした。

「ということで、オシャピクを勉強してみよう……!」

 自分には出来る気がしないと敬遠していた、オシャレピクニック。

 せっかくなので、この機会に挑戦しようと思えた。
 ひとりでピクニックをするのも気楽でいいが、誰かに食べてもらうとなったら力が入る。

 以前、大倉と海が見える場所でピクニックをした時は、おつまみ程度の物を作っただけだから。

「よーし、やるぞぉ~」

 俄然ヤル気が出て来たカナコは、師匠をもてなすための買い物リストを作り始めた。



 約束の当日を迎えた朝。

「むちゃくちゃ晴れましたね」

「ほ、ほんとに……。なんかすみません……」

 大倉の車の助手席で、カナコは身を縮ませて謝った。

 いよいよ梅雨に入り、今日は大雨の予報だったのだが、珍しく予報は外れて青空が広がっているのだ。
 
「なんで謝るんですか。これ、絶好の機会ですよ」

 運転する大倉が、カナコに言った。

「え、だって、梅雨だと思ったから室内にしたんですよ? なのに晴れちゃって……意味ないかなって」

「意味はあります。いや、意味なんてなくたっていいんですよ。楽しみにしてましたから、俺」

「それならいいんですけど……」

 フロントガラスの向こうにある青空を見つめながら、張り切っていた自分が恥ずかしくなる。

「今日、髪の毛違いますね」

「え? ええ、少し切ったんですけど、暑いのでまとめてきました」

「いいですね、涼しそうで」

 まさか気づくとは思わず、動揺するカナコに、大倉が淡々と褒めてくれる。そういえば、と思い、カナコも尋ねた。

「ありがとうございます。大倉さんも髪型少し変えました?」

「えっ、あ、はい、変えました……。変ですか?」

 自分に振られた途端、今度は大倉が動揺している。

「変じゃないです、素敵です。大倉さんはイケメンだから何でも似合いますよ」

 言ってからハッとした。
 これは昭和な上司と一緒ではないだろうか。自分の言葉で大倉を不快にさせたくはない。

「ごめんなさい。今の発言ってセクハラですよね。気を付けます」

(大倉さんがいい人だからって、調子に乗っちゃダメ。年下を怖がらせるなんて最低なんだから)

 なぜか大倉からの返答がない。
 車内には、彼がリストに入れたお気に入りの音楽が流れている。

 大倉の顔を見るのが怖くて縮こまっているカナコに、彼の言葉が届く。

「そんなこと言ったら、俺のほうがセクハラですよ。先に渋谷さんの髪型を褒めたんですから。俺こそすみませんでした……。でも、素直にいいなって思った気持ちを伝えただけですので」

「え……」

「渋谷さんの俺に対する言葉はいつも褒めすぎですけど、不快には思っていません。むしろとても嬉しいので、もっとください」

「も、もっと?」

「もっとですよ。もっともっともっと、です」

「……ぷっ」

 大倉の言い方がおかしくて、思わず吹き出してしまった。
 真面目な顔でそういうことを言うから、クスクスと笑い続けてしまう。
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