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12 夏だ、山だ、波乱のバーベキューだ(7)
手ぶらでいいと言ってくれたのだが、さすがにごちそうになるだけにはいかないので、ちょっとよさげな個包装のチーズと、女性も何人かいるということでスティック型の可愛らしいラスクを購入してきたのだ。
「私が食べたいものを持ってきただけだから、謝らないで。手ぶらでいいって言ってくれたのに、こちらこそごめんね。でも美味しそうだから、大倉さ……、凪沙も食べてね」
「ああ、食べる。楽しみだな」
名前を言い直したカナコに、彼が優しく微笑みかけた。
(これ以上キュンキュンさせられたら困るんだってば……!)
カナコはその笑みから顔を逸らして、言葉をつなげる。
「私もバーベキュー楽しみ。会社の皆さんに会うのは緊張するけど……」
「みんないい人だから大丈夫だよ。俺もいるから心配しないで」
「うん」
話をしながら、ショッピングエリアに入る。
(いや~、……女子がみんな振り返ってるわ、大倉さんのこと)
特産品の並ぶ場所に行くまでに、何人の女性が彼のことを見つめていたか、わからない。
チラチラと彼を見ながらさりげなく寄ってくる女性、後ろでひそひそと彼のことを話す数人の女性……。
目がハートになっている彼女たちの視線が、ふとカナコの存在に気づく瞬間が、どうにもいたたまれない。
大倉が手を離してくれないので彼に寄り添う形になり、女性たちに気づかれるのだ。
(それにしても……大人の男性と手をつなぐなんて、本当に久しぶりだわ……)
会話が途切れると、手をつないでいることに意識が集中してしまう。
温かい彼の手は、カナコの手を包み込んでしまうほど大きい。
(……別に、手を握るくらい、なんてことないじゃない。挨拶で握手するのと同じよ、同じ……)
その時突然、つないでいた手をキュッと握られて、カナコは反射的に手を握り返した。
「言葉がなくても伝わるのって、なんかいいね」
「うん……私も同じこと、思った」
もう素直に認めてしまおう。
さっきからずっと、大倉を意識してドキドキしていることに――。
サービスエリアからほどなくして、キャンプ場に到着した。
カナコは大倉と車から降りて、自分の荷物を手にする。彼は先ほど言っていた通り、ペットボトルを入れてきたクーラーボックスを手にした。
「結構近くて驚いちゃった」
「そうだね。埼玉にはたくさんキャンプ場があるけど、ここは比較的東京から近いから便利なんだ。ファミリー層も多いよ」
「そうだったのね。自然がたくさんで、気持ちいい……!」
「空気も美味しいな」
カナコと一緒に、大倉も笑顔で言った。
広いキャンプ場エリアは木立の中にあり、強い日差しから木陰が守ってくれる。時折風が吹いてくるので、気温が高くても快適に過ごせそうだ。
まだ時間は午前十時半を過ぎたばかり。
撮影の許可を取る際、特別に早い時間から使わせてもらえることになったそうだ。
こちらのキャンプサイトは一区画が広く、隣同士が離れているので、ゆったり過ごせる印象だ。
昨日から宿泊しているのだろう、片付けをして帰り支度をしている人たちの横を通り過ぎ、木立の奥の方へ歩いて行くと、奥にあるサイトに車が二台と、十人ほどの男女が集まっているのが見えた。
「いたいた。もう始まってるな。二つ分のサイトを確保してる」
大倉の言葉に一瞬緊張が走ったが、カナコは深呼吸して落ち着きを取り戻した。
今日は大倉の彼女なのだ。
堂々としていないとすぐに怪しまれる。バレてしまったら、せっかくの恩返しが出来なくなるどころか、大倉に恥を欠かせるというとんでもないオチで終わるのだから、それだけは避けたい。
「私が食べたいものを持ってきただけだから、謝らないで。手ぶらでいいって言ってくれたのに、こちらこそごめんね。でも美味しそうだから、大倉さ……、凪沙も食べてね」
「ああ、食べる。楽しみだな」
名前を言い直したカナコに、彼が優しく微笑みかけた。
(これ以上キュンキュンさせられたら困るんだってば……!)
カナコはその笑みから顔を逸らして、言葉をつなげる。
「私もバーベキュー楽しみ。会社の皆さんに会うのは緊張するけど……」
「みんないい人だから大丈夫だよ。俺もいるから心配しないで」
「うん」
話をしながら、ショッピングエリアに入る。
(いや~、……女子がみんな振り返ってるわ、大倉さんのこと)
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チラチラと彼を見ながらさりげなく寄ってくる女性、後ろでひそひそと彼のことを話す数人の女性……。
目がハートになっている彼女たちの視線が、ふとカナコの存在に気づく瞬間が、どうにもいたたまれない。
大倉が手を離してくれないので彼に寄り添う形になり、女性たちに気づかれるのだ。
(それにしても……大人の男性と手をつなぐなんて、本当に久しぶりだわ……)
会話が途切れると、手をつないでいることに意識が集中してしまう。
温かい彼の手は、カナコの手を包み込んでしまうほど大きい。
(……別に、手を握るくらい、なんてことないじゃない。挨拶で握手するのと同じよ、同じ……)
その時突然、つないでいた手をキュッと握られて、カナコは反射的に手を握り返した。
「言葉がなくても伝わるのって、なんかいいね」
「うん……私も同じこと、思った」
もう素直に認めてしまおう。
さっきからずっと、大倉を意識してドキドキしていることに――。
サービスエリアからほどなくして、キャンプ場に到着した。
カナコは大倉と車から降りて、自分の荷物を手にする。彼は先ほど言っていた通り、ペットボトルを入れてきたクーラーボックスを手にした。
「結構近くて驚いちゃった」
「そうだね。埼玉にはたくさんキャンプ場があるけど、ここは比較的東京から近いから便利なんだ。ファミリー層も多いよ」
「そうだったのね。自然がたくさんで、気持ちいい……!」
「空気も美味しいな」
カナコと一緒に、大倉も笑顔で言った。
広いキャンプ場エリアは木立の中にあり、強い日差しから木陰が守ってくれる。時折風が吹いてくるので、気温が高くても快適に過ごせそうだ。
まだ時間は午前十時半を過ぎたばかり。
撮影の許可を取る際、特別に早い時間から使わせてもらえることになったそうだ。
こちらのキャンプサイトは一区画が広く、隣同士が離れているので、ゆったり過ごせる印象だ。
昨日から宿泊しているのだろう、片付けをして帰り支度をしている人たちの横を通り過ぎ、木立の奥の方へ歩いて行くと、奥にあるサイトに車が二台と、十人ほどの男女が集まっているのが見えた。
「いたいた。もう始まってるな。二つ分のサイトを確保してる」
大倉の言葉に一瞬緊張が走ったが、カナコは深呼吸して落ち着きを取り戻した。
今日は大倉の彼女なのだ。
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