アラフォー、勇者様溺愛旅~時々魔王も添えて~

草薙 紗々

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家族がふえるよ! やったねマルス!

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 さて、そこで問題です!




 各国の王様達を、どうやったら安心安全に自分達の国へと戻すことが出来るでしょうか?




  次の3択から1つだけ選びなさい。




  ① アラフォーな私が、一人一人地道に送っていく。




  ② アラフォーな私が、どうにか瞬間移動させる。




 ③ 無理。 現実は非情である。








  えーーーん!








 いまんとこ一番現実味あるのは①かなぁ!




 で、でも、世界中を歩くはめになるわけでしょう?!


  どこの伊能忠敬よ!


 い、いや、それ以前に私の体力ががががっ…!


  現に今だって、身体中が悲鳴をあげている訳でしてっ…!




 あーーーあ。


 なんとかして、②を実行出来ないかなぁ。




  あーっ!


 もうっ!


 考えすぎて、頭がフットーしそうだよおっっ








  助けてーーー!!! 某猫型ロボットーーー!!!








  ん?








  某猫型ロボット…?








          ◆◆◆








 「おおっ…!懐かしやっ…!

我が国っ…! 我が故郷っ…!」




 「よもや、再び生きて、この地を踏めるとはっ……!」




 「ああっ……! 聖女様っ…! 感謝しますっ…!!」








          ◆◆◆








 「………ふぅ。

全員、無事に送り届けられたね!」




 「う、うん…。」




 「しかし…。凄いな…。 どこから出てくるんだ?

こんな発想…。」




 「本当に…。

扉を開くと、まったく別の場所とつながっているなんて!」




 「……凄い……」








 いやー、日本が誇る天才漫画家のアイデアですから!




 凄くて当たり前です!








 そう、今回私が『創造』したのはこちら。




 『異次元ドア』~!








 だ、大丈夫! 某動く城でも出てきた魔法だしっ!




 セーフ! セーフ!








  「さて、のこりはマルス達だね。 送るよ。

どこのなんて村?」








 マルスの表情が強張った。




  空気が一瞬にして凍りつき、みんな動揺を隠せないでいる。








 「あの…。 アキラ…、マルスの、村は…




 「いいんだ、セレスティン。 僕が言うよ。








 アキラ。

僕の村は、魔物に襲撃されたんだ。

 父さんも、母さんも、もう、この世には、いない。」








 瞬間、雷に撃たれたかのような衝撃が私の心を抉った。








 「あの頃僕は、ククル様に選ばれたてでね。

信じられなかったよ。 自分が世界を救う勇者だなんて。」








 寒さとは違う震えが、全身を襲う。




 身体が、芯から、冷えていく。








 「村の人達なんか、すっかりはしゃいじゃってさ。

自分達の村から勇者が出たぞって、行商の人に自慢しちゃったみたい。

 そしたら、その日のうちに魔物の大軍が、押し寄せてきて。」








  あふれでる涙を、とめられない。








 「シ、シュナも、ジョシュアも、アリシアも…!

ぼ、僕を庇って…!

 と…、父さんも…! かあさ




  「もういい! もう… いい… からっ………!!」








  気がつくと駆け出して、マルスのことを抱き締めていた。








  マルスはガチガチに強張ったままだ。








 「もういいっ! 我慢なんか、しなくていいっ!

辛かったねっ…! 今まで、よく、頑張ったねっ…!

 もう、大丈夫だからねっ!

リュインも、クロウリーも、セレスティンも、いるからねっ!

 私だって、いるんだからねっ!

もう、泣いていいんだよっ…!

もう、我慢なんてしなくて、いいんだよっ…!」








 もう、ただただ、この胸の中の少年の支えになりたくて。




 力になりたくて。








 支離滅裂な、不器用な、言葉だけど。








 「 ぅ うわあああああああああ!!!」








  マルスは私の胸で堰を切ったように泣きはじめた。









 リュインがやって来て、がしっと、私ごとマルスのことを抱き締める。




 クロウリーもやって来る。




  セレスティンもだ。




 みんなで抱き合って、しばらく涙の流れるままに泣いた………。








    ◆◆◆








 「…僕、これから、世界を救う旅に出たい。」




 ひとしきり泣いたあと、マルスの突然の発言にみんながギョッとした。




 「魔神は倒されたけど、世界はまだ混沌の渦の中だ。

僕、皆を助けたい…!」




  泣き腫らして、腫れぼったくなった大きな瞳で、決意も硬く宣言するマルス。








  と、








 「…たくっ! しゃーねぇなぁ!」




 がしっと肩を組んで、リュインが快活に言う。




 「オレの武族の掟でね…!

『家族』の繋がりは、鉄よりも硬い!

『家族』の絆は、海よりも深い!

 一緒についていくぜ! 兄弟!」




 「リ、リュイン……!」




 肩に手を置いて、クロウリーが珍しく饒舌に話す。




 「…お前は、ホムンクルスである俺に、命の尊さを教えてくれた大切な人間だ。

  赦されるなら、俺もお前の家族となろう。

そして、どこまでも共についてゆくとも…。」




  「クロウリー…!」




 「…わたしは、第一皇女です…。

が、幸い、妹がおります。

 国の事は、お父様と妹がなんとかしてくれるでしょう。」




 「セレスティン…。」




 「今日から、わたしはただのセレスティン!

そして、貴方の家族となります。

  以後、お見知りおきを…。」








 「勿論、私のことも、忘れないでよね! マルス!

私も、あなた達の家族!

 そして、旅の仲間になるんだから!








  あ、でも、35になるから労ってね…?」








  吹き出すリュインとは対照的に、「…善処する…。」と真面目なクロウリー。


 たまらずセレスティンも吹き出した。




 「 ぅわあああああああああああん!!!」




 またもや火のついたように泣き出してしまったマルス。








  本当はみんなと別れたくなかったのだろう。




  よかったね…!


 マルス…!


 私達、ずーーーっと一緒だからね!







 ああ………。 マルス………。


 なんと けだかい こころの もちぬし………。


  わたしは はがゆい………。


  あなたに なにも してあげられない ことが………。



 ああ………。


 いしきが…………。


   ア キ  ラ  ………。


    ど うか マ  ルス  を ま もっ   

                   て………………。







           …………………。


















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